メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種 1-5 「労働災害」

 業務に起因して労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡すること」を労働災害と言います。略して労災と言われています。営業車を運転していて事故を起こしてけがをした場合も労働災害に含まれます。
 労働者側に生じた損害を填補するには、労働基準法の「災害補償責任」と民事上の「損害賠償責任」があります。

 労働基準法の災害補償責任の履行を確保するために制定されたのは労働者災害補償保険法です。保険給付には以下のものがあります。

労働基準法の災害補償・労災保険法の保険給付共通のもの
①療養補償 病院で療養を受けたときの治療費
②休業補償 療養のため休んだ時、4日目から支給される生活保障
③障害補償 治った後に障害が残った時の生活保障
④遺族補償 死亡した際の遺族への生活保障
⑤葬祭料  死亡した時の葬儀費用の支払い

労災保険法の保険給付のみの者
⑥疾病補償年金 療養開始後1年6ケ月経っても治らず疾病等級に該当したときの生活保障
⑦介護保障給付 常時または随時介護を受けている時の介護費用の補償

労災保険法から上記の給付が行われた場合、企業は労働基準法による災害補償の責任を免れることができます。
また、労使が発生してから最初の3日間だけ労働基準法の災害補償から、休業補償を行います。これは労災保険法の休業補償給付(上記の②休業補償)では休業4日目からしか給付されないためです。

 労災保険法にによる保険給付は、労働基準監督署長が労災認定することが条件です。業務遂行性(労働者が企業の支配下にあったこと)と業務起因性(業務に伴う危険が発生したものと認められること)の2つの条件が認められることが必要です。

 厚生労働省ではあらかじめ業務上疾病の基準を作成して各都道府県や医療機関、企業に周知を行っています。以下に厚生労働省の基準リンクをお知らせします。


 精神障害の場合は労働基準監督署長は「心理的負荷による精神障害の認定基準」に基づいて判断します。以下のリンクを紹介します。


 労災保険の保険給付は企業に落ち度が無くても支払われますが、損害に一部に限られます。補償も平均賃金から算定された定立的なものです。
 企業にも落ち度があるとされた労災は、慰謝料や損害補償を求めて、民事上の損害賠償責任訴訟を起こされることがあります。

 保険給付の後に、損害賠償される場合には給付済みの金額は損害額から控除されます。
 損害賠償を支払う場合でも前払い一時金の最高限度額までは損害賠償の支払いが猶予されます。


 以上になりますが、企業に落ち度が無くても労災保険法の保険給付が可能なケースがあります。泣き寝入りせずに労働相談ダイヤルなどに相談してみるのも一手です。

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