Z世代が食へ挑戦したくなるリアルな条件とは?
現状
日本国民における「新しい食体験への挑戦」には前向きな意識が見られる一方で、安全性や味に対する懸念も存在していることが分かりました。
新しい食体験への意識は多様な要因によって形成されており、以下などが挙げられます。
・若者層の挑戦意識の高さ
・健康志向の高まりによる新しい食への挑戦
・伝統的な和食の枠を超えた創作和食などへの挑戦
・地域性とローカルフードへの関心の高まりによる食への挑戦
・グローバル化に伴う新しい食への挑戦
~人と食の価値の出会い方~ フードテックから見る「未来の食の風景と価値」とは [ ITレポート ] - 情報システム分野|内田洋行 (uchida.co.jp)
また、新しい食体験への挑戦には、以下のような懸念点も挙げられます。
・健康リスクへの懸念
・新しい食体験の受け入れによる伝統的な和食文化が失われることへの懸念
・食材の安全性に対する疑念
・価格の経済的な負担への懸念
・味や嗜好の違いへの懸念
・環境負荷への懸念
・情報の不足からくる懸念
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Z世代の現状
続いて、Z世代における「新しい食体験への挑戦」に関するアンケートを実施しました。
このアンケート結果から、Z世代の「新しい食体験への挑戦」の現状について報告したいと思います。
このアンケートは、女性16名、男性6名の計22名のZ世代に取ったアンケート結果です。
調査を通して、Z世代は、新たな食への挑戦をするとき圧倒的に「友人」と挑戦することが多いことが分かりました。
また、「食の挑戦をする時はどんな時が多いですか?」という問いに対して、
1位 身近な人の口コミを得た時
2位 たまたま自分が食べたいものを見つけた時
2位 他人やSNSの口コミを見た時
という以上のような結果となり、身近な人、他人のSNS等の口コミによる効果が大きいことが分かりました。さらに、タイミングや巡りあわせも食への挑戦に影響していることが分かりました。
続いて、「新しい食べ物に挑戦したいと思う理由は何ですか?」という問いに対して、
1位 興味本位
2位 新たな経験をしたい
3位 食の知識を広げたい
上位3位は以上のような結果となり、Z世代は、新しい食べ物への好奇心が旺盛であることが分かりました。他にも、「皆と味の感想を共有したい」「流行に乗りたい」「自炊料理に活用するため」などが理由として挙げられました。「健康のため」という理由には投票されておらず、健康を気遣って新しい食に挑戦するZ世代は少ない傾向にあると分かりました。
続いて、「新しい食体験への挑戦に対する不安や懸念はありますか?」という問いに対して、
1位 味が合わないかもしれない
2位 価格が高い
3位 衛生面の不安
という以上のような結果となりました。好奇心旺盛なZ世代ですが、「味が合わないかもしれない」という懸念点が大部分を占めました。
最後に、「食に対して挑戦したいと思いますか?」という問いに対して、5段階評価でアンケートを実施しました。
1位 少し挑戦したいと思う
2位 あまり挑戦したいと思わない
3位 何も思わない
以上のような結果となりました。
これらのアンケート結果から、Z世代は新たな食への挑戦に対してポジティブな感情を持っていることが分かりました。また、友人と新たな食体験への挑戦をするZ世代が多く、身近な人や他人のSNS等の口コミ、興味本位やタイミングをきっかけに新たな食体験に挑戦するZ世代が多いことが分かりました。
ペルソナの特徴的なエピソード
このようなZ世代の食体験の現状から、
今回、私たちは食が好きな21歳の女子大学生、Hさんにインタビューを行いました。その中で特に特徴的だった食体験に関する価値観、またそのエピソードを紹介します。
Hさんは、とにかく面白く・ぶっ飛んだ人やものが好きな人物です。それは彼女の好きな友達やアーティスト、キャラクターの特徴にも表れていました。しかし食事では「味」「コスパ」を重視する傾向があり、自分自身が好きな食べ物を好んで選ぶことが多いようです。特に辛い食べ物が好きで、限界まで食べ続けることで得られる爽快感がお気に入りだそうです。
そんな食への挑戦心がなさそうに思える彼女ですが、食への挑戦に対してZ世代と同様にポジティブな感情を持っています。実際に、食の挑戦に至るには「友人と一緒に挑戦できるか」「面白い非日常感を味わうことができるか」が、重要なポイントになるようです。食べてみたい物があり、それに挑戦できる上記のようなタイミングが合えば挑戦することが多いです。そして、例え美味しくない場合でも、「新しい体験ができてよかった」という風に前向きにとらえるようです。
このようにペルソナは、
食べられるか不安ながらも挑戦したいものがある場合は、友人と楽しく体験することで、最終的に新しい経験・思い出として落とし込めるかどうかを重視していることが分かります。さらに、ペルソナにより響きやすい要素としては「ぶっ飛んでいて面白い」と感じるかが、食への挑戦意欲とその満足度において重要になっていることが分かります。
ペルソナの新たな食への挑戦の価値観として、主に友達などと挑戦したいと考えていること、面白いこと、非日常でぶっ飛んだものに強い関心があることで、「面白いコンテンツ」とかけ合わさっていれば、「食への挑戦」をしてみたくなると言うことでした。
実際に、Z世代への調査でも、上記の通り86.4%の人が食への挑戦は友人としたいと考えていることがわかりました。
また、Z世代には、昭和レトロを感じさせるような純喫茶が人気を博したり、さまざまなアニメを輩出しているジブリに登場する食事を再現した「ジブリ飯」が人気なことなど、非日常感を味わえるコンテンツと食事の相性は良いと考えられます。
日本経済新聞 純喫茶に香る「昭和レトロ」 Z世代に新鮮さ、非日常の魅力
結論(ペルソナの価値観の仮設)
これらの調査結果から、主にペルソナは新たな挑戦を行う際、非日常を楽しむことができるコンテンツと、自分が食べたことのない食に強い関心を持っていることがわかりました。
新たなコンテンツや、非日常感は、「楽しさ」や、「ワクワク」と言ったポジティブな感情に繋がり、普段では挑戦しようと思わない食事に挑戦するきっかけを与えたり、さまざまなコンテンツとの掛け合わせにより、知らなかった食へ出会うきっかけにも繋がります。
これらのインタビュー結果から、「非日常」×「今まで挑戦したことのない食事」が、ペルソナが新たな食に挑戦するきっかけとなると仮説を立てました。
アイデア
私たちはこの仮説を基に4つのアイデアを考案しました。また、アイデアをペルソナとZ世代それぞれに評価していただきました。
美術展示×絵画に関連がある食事
このアイデアは美術品展示を楽しみながら絵画のなじみがある食事を楽しむという新しい形のフードフェスです。食事は絵画に描かれている食事や絵画の作家が好んだ食事を提供することで絵画への興味をさらに掻き立て、なじみが無い食材でも食べたくなることを可能にします。
〈ペルソナからのFB〉
今までにない新たなフードフェスの形でとても面白いと思います。また、絵画となじみのある食事を食べることで愛着のようなものが湧き、食べたことが無い食材でも挑戦意欲がさらに湧くと思います。
〈Z世代からの評価〉
このアイデアを試したいかというアンケートを取ったところ
試したいと回答した方は全体の94.4%でした。五感で楽しめる体験であること、世界観に没入できる点が評価されました。一方で、美術館で食事をすることはタブーに感じてしまうなどの意見も挙がりました。
完全に新しいスタイルのフードフェスで五感で楽しむ新たな食体験を提供できるアイデアだと考えます。
②色々な料理を一口ずつ味わえるフードフェス
このアイデアは少し変わった料理などを一口分提供するフードフェスです。食べたことが無い食材を挑戦する際に一口分なら食材を余らしてしまう心配もコストも抑えられます。またフードフェスという場にすることで新しいものを挑戦するときは友人や周りの人と試したいという感情が強いペルソナやZ世代はより楽しめることができると考えました。
〈ペルソナからのFB〉
新しいものを挑戦する際に友達と試すにしても友達も苦手な味だった場合、食材を無駄にしてしまう心配があるためこのアイデアはありがたいと思いました。また、コストも抑えられることから気軽に挑戦ができると思います。
〈Z世代からの評価〉
このアイデアを試したいかというアンケートを取ったところ
試したいと回答された方は全体の94.4%でした。一口という気軽さが挑戦しやすいという意見や同じ味でお腹いっぱいならずに、いろんな味を楽しめるのがいいという意見が挙がった一方でトータル的にはコスパは悪そうという意見も頂きました。
これらの結果から誰もが試しやすく挑戦意欲の湧くようなイベントアイデアだと考えます。
③ASMRメニューでYoutuberごっこ
このアイデアは近年流行りのASMRユーチューバーと同じことができるというものです。ペルソナ自身食べ物系のASMRを見るといつも以上に食べてみたいという気持ちが湧くそうです。実際にASMRユーチューバーがよく食べている食事などを提供し、機材なども貸し出すというものです。普段YouTubeで見ていることと同じことを友人などと体験することができます。
〈ペルソナからのFB〉
すごく楽しそうだと感じました。ASMRで食べられているメニューは流行りの食べ物や食感に特化しているものなどあまり家庭で食べないものだからこそ憧れのようなものがあります。その食事を楽しめるだけではなく機材などもあり自分もユーチューバーになりきったように楽しめるのは新鮮で友人とのいい思い出作りにもなると思います。
〈Z世代からの評価〉
このアイデアを試したいかというアンケートを取ったところ
試したいと回答された方は全体の27.8%でした。試したくない理由にはそもそもASMRが苦手という方が多く、万人受けはしないことから魅力が分からないというものでした。一方で試したいと回答された方からは友達と忘れられない思い出が作れる。ASMRメニューにちょっと憧れがあるから試したい!という意見が挙がりました。
多くのZ世代から受け入れられるものではないかもしれませんが一部からは強いニーズがあるアイデアだと思います。
④ドライブインシアター×様々な国の映画フード
このアイデアはドライブインシアターの際に各国の映画のお供を一緒に楽しめるというアイデアです。ドライブインシアターという非日常的な体験に普段ではなかなか食べない様々な国の映画フードを食べることでより特別な思い出を提供できるといったものです。
〈ペルソナからのFB〉
ドライブインシアターという特別な体験をよりわくわくするものに進化させられていると思います。各国の映画のお供を選ぶ行為も新しい発見で各国の定番というものはやはりせっかくだし試してみたいという意欲は湧きます。直接誰かに進められているわけではないけれど、定番となるとその国の人たちが進めてくれているような気持になり挑戦意欲がまします。
〈Z世代からの評価〉
このアイデアを試したいかというアンケートを取ったところ
試したいと回答された方は全体の88.9%でした。非日常のドライブシアターも良い上に各国の映画のお供でワクワク要素が沢山あるといった意見が大半を占めていました。また、車の中だと食べこぼしが気になるといった意見も挙がりました。
これらの意見からもわくわくという感情がより掻き立てられ、あまり食べる機会のない食材も挑戦できるアイデアだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Z世代が持つ「食への挑戦」に対する新しい価値観・特徴が伝わりましたでしょうか。
Z世代が食体験に対して重要視している思考や、実際に女子大学生が持つ独自の挑戦したくなる機会や条件など、ご精読により得られるものがありましたら幸いです!
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