坂の上の雲
NHKスペシャルドラマ。
これまで地上波、BS放送とされ、このたび9月より地上波で再放送される。
また、BS4Kでの放送もある。
あの美しい映像を4Kで観られることは、まことに有難いことであり、21世紀に心から感謝を申し上げる処なり。
この作品は、云わずと知れた司馬遼太郎の小説で、ながく映像化を本人の希望で果たし得なかったと聞く。妙な安い特撮では描けないものも多く、興醒めすると思われる。しかし個人的には、まだ生乾きな時代にそれらを映像化することへの憚りが、多分に在ったのではあるまいか。
VFXという映像表現と、その当時の、これ以上はないというキャスティングをすることで、作家の死後でようやく壮大な映像化が適った。ここで指すキャスティングは、作品のイメージする上で、きっとこれ以上はないというものであり選ばれた役者は最高峰の誉れ高き演技派であると思う。選ばれなかった名優も多いが、この作品においては、演ずるべき人が演ずるべき役を為したとしか思えない。
無論、その当時の、ということである。
仮に現代の技術とキャスティングならば、全く別の役者が全く一新されることになるだろうと思うし、それはそれで傑作になるだろうと思う。
それだけに、この撮影当時のキャスティングは無二の最高なチョイスだったと、信じている。
原作:司馬遼太郎(『坂の上の雲』/『明治という国家』/『司馬遼太郎が考えたこと』/『殉死』/『この国のかたち』)
脚本:野沢尚 / 柴田岳志 / 佐藤幹夫 / 加藤拓
音楽:久石譲
演奏:NHK交響楽団 / 東京ニューシティ管弦楽団
テーマ音楽指揮:外山雄三
主題歌:『Stand Alone』 作詞:小山薫堂
作曲:久石譲
歌:サラ・ブライトマン(第1部)
森麻季(第2部)
麻衣(第3部)語り:渡辺謙
題字:司馬遼太郎
キャスティングについてはウェキペディアでも参考にして欲しい。
だいたい、渡辺謙を全編通してナレーションにするという贅沢さ。
座して、待つ。