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ガンフロンティア

このお題で、西部劇を連想できた方は真の松本零士ファン。
SFとか、戦場とか、四畳半モノばかりがクローズアップされるけど、松本零士がのびのびイキイキと〆切守って仕事していたのは、きっとこの作品だろうなと感じる。

この作品の、毎回の扉絵は一枚のイラストとしても秀逸。もともと松本零士はベタを多少しつつも、線を省略したハイライトの見せ方が上手だった。後期高齢者になり、後半はもうそのタッチが描けない人になってしまったが、一枚絵が作品世界を読者に伝えられた。ガンフロンティアはその最たるもので、毎回の表紙絵にハズレはなかったと思う。

それから、大事なこと。
松本零士がノリノリだと感じたのは、この作品がポルノをなぞるもの、という点。脂ぎっていた時期だから、松本キャラでムラムラしてしまった(当時の)読者は多かった。銀河鉄道999でメーテルのシャワーシーンで「おぉ」というレベルじゃない。

〇〇〇をいたしておるのだから、驚くけど、これはそういう雑誌に連載されているから仕方ないのだろう。エロが先か、西部劇が先かは、野暮な問いというモノ。

このプレイコミックという雑誌は秋田書店。のちにキャプテンハーロックも連載されたが、あの原作がなんとなくアダルトな雰囲気だったのはこういう連載の場だったことも背景にある。

この時代の御大の作風を知っている人は、画力が落ちていた晩年に悲しさを覚えただろう。そのうえで過去の作品を引っ張り出して続編にして、途中で放り投げてそれきりにして。
ガンフロンティは完結できた幸せな作品だ。

いまでもタマに読みたくなる。
けど、娯楽であり、手塚治虫の「火の鳥」のように自問自答したりする類いでない。こういう無責任な娯楽の名作は、いつまでも残されて欲しいものである。