パンデミックの自覚
南信州新聞連載作品「満洲-お国を何百里-」は、現在、エピソードとしてスペイン風邪を題材とした「パンデミック」を描いている。
スペイン風邪と武漢熱は似て異なものだが、共通しているのは、無自覚な大衆が広めていったというもの。
作中の舞台は、砂漠の中の架空の村。
日本人数名が入植しているが、基本的には外部からの接点は年に一度、休息として往還する行商人バジャだけ。
バジャはいう。
ヨーロッパでは大変な流感だ。じきに満洲も感染される。
日本人は医師、外部からの接点さえない儘なら村は大丈夫だろうと楽観視する。しかしバジャの去った数日後、砂漠で行き倒れた人を村人が救い、村へと運び込んだ。
男の身元を証明するものはなく、走り書きのメモを所持するのみ。
「أَمْرَاضٌ مُعْدِيَةٌ،」
これは……アラビア語。
「感染中」
を意味する、この男が力を振り絞り書き記したヒトコト。
男はついに意識を戻すことなく息を引き取った。村の墓地に埋められた男、その数日後、拾ってきた村人が高熱を発し、咳が止まらなくなる。
……日常が、静かに壊されていく。
本編の冒頭を箇条書きしました。
これは現代社会の風刺です。
騙されないでほしい。緊急事態宣言にすると国の財源が保てない。だから5類なだけで、現実的に新型コロナウィルスに特効薬はまだない。隔離と自力で治癒するしかなく、後遺症も出る。
しかし楽観視ノーマスクで、密集する場所に人は集まる。
自然と蔓延する。
新型コロナウイルスは現在、第11波の流行期がはじまり12週連続で感染者数が右肩上がり。
過度な怯えは不要ですが
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」
のが日本人の悪い癖。
ラヴィ🐰笑顔の物書きさんの記述も、ありえることなんです。
現代よりも通信や情報の網が希薄な時代のパンデミック。
村がひとつ壊滅することも、不思議ではない日常。スペイン風邪を克服した人類は、まだまだ新型コロナウイルスを克服できていない。五輪に熱狂している影では、まだまだ新型変異もあり、ちょっとだけ自覚を忘れないでほしいと願うところです。