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ignite_hiko
《式子》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十七の歌~
《式子》原作:権中納言定家
……本当に来ないのなら悪霊となって取り憑きますわよ……。
俺は内親王から届いた手紙に震えた。
「どないしたの?」
傍らに寝そべる遊び女が覗き込む。
松帆の浦が見下ろせる塩屋を夏の灼熱が襲っていた。
白熱した太陽は内親王のように容赦がない。
「俺、行くわ!」
内親王の悪戯な眼差しが俺を奔らせる。
<承前九十六の歌>
定家は式子の腿を割ると大きく開脚させた。式子の秘園が目の前に
晒される。ゆっくりと定家は黒々とした叢に唇を寄せ、舌を割れ目に這わせた。硬い凝りが舌にあたる。
「うっ……」
式子が怯えるように呻く。定家はさらに深く唇を秘園に押し当ててゆく。左右の陰唇を捕え、舌で梳るように舐めてゆく。式子の喘ぎが甘く定家の耳朶をうつ。忘我の定家はようやく、あの美しい泉に辿り着いた。舌で触れると泉からとろりとした愛液が湧きでた。それを唇で吸い上げる。
「嬉しい……」
式子のものぐるしい声に恍惚の涙が光る。
幾度か溢れる愛液を啜ると定家は元来た陰核へと舌をうつした。
「来ぬ人を まつ帆の浦の 夕なぎに やくや藻塩の 身もこがれつつ」
定家の脳裏に浮かぶ燃え盛る愛は、いやましに激しく、身も心も焼き尽くそうとしていた。
<後続九十八の歌>