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《浪花のオヤジの心中は》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十五の歌~

《浪花のオヤジの心中は》原作:前大僧正慈円
地震、津波、大雨。
世の中は悲しい事ばかりや。
鶴橋のガード下で飲んでるワシには何もでけへんけど
気持ちだけは困っている人や悲しんでる人、
そんなみんなをかぼうてるつもり。
あんじょう生きや。

<承前九十四の歌>
握り締めた肉棒は硬く天に向かって反り返る。式子はうっとりとそれに見惚れると、舐めるように亀頭に口づけした。そして、口一杯に含み、深く喉元まで咥えて舌を絡ませた。柔らかな式子の舌の襞が鋼の幹に絡みつく。
「おォ、式子!」
定家が呻いた。悪戯な式子の瞳が輝く。頭を上下に振り、唇を絞って定家の男を攻め立てた。屹立は益々、雄々しく、鼓動を増し始める。
「……おほけなく  うき世の民に おほふかなわが立つ杣に 墨染の袖」
押し寄せる快感の中、定家はこの夜が永遠に続くよう願った。全ての浮き事に黒い覆いをかけて隠してしまお、秘められた営みが誰に知られるともなく限りなく続くように……。
<後続九十六の歌>                  


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