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限りなく透明に近いブルー 【読書感想】

書評というようなたいそうなものをかけないなと思い、読書感想にした。

この作品で感じたものそれは『酔った』感じ。客観的な描写なのか主人公りゅうが見た光景なのか分からないような語り口が、麻薬によっている男女6人を描く場面がたくさんある。

それが自分も酔ってしまったかような感覚になって、村上龍さんは麻薬をやったことがあるのだろうか?と疑ってしまうくらいに文章から伝わってくるものがある。

この作品実はすごく読みづらかった。ただ麻薬乱交パーティーみたいな感じを描く部分が多く、『何の意味があるの?』とどうしても私の悪い部分が顔を出してしまう。

私にとって意味づけがないものに関して、捉える力が弱いのだと思う。そういうストーリーみたいなものを求めて読むものではないと思う。

ストーリーがあるとするならば、狂気がどんどん激しくなっていき、最後には廃人だろうかと思うぐらいに変化していく様を見ていると『大丈夫なのであろうか?』という感覚をどうしても覚えてしまう。

登場人物に関しては、あまり個性を見いだせなかった。というのは、著者のせいではなく、私がそこまで本に集中できなかったからだと思う。

船酔いでもしたかのような混沌とした意識が捉えたような語り口に、私もよってしまって言葉を追っていくだけで精いっぱいだった。

ひとつあとがきを見て気づいたことがあった。最後の方は、もうドラッグにやられてしまっていて、現実ではない訳が分からないことを話すようになる。

その様が、現代社会のメディアに侵された私たちの姿ともいえるとあとがきでは言っていた。確かにそうなのかもしれない。自分が体験してもいないものをそうだと思い込んで生きているのが私たちなのかもしれない。

かといって私は、酔ったような感覚から解き放たれたような、どこかホッとしたような読後感があるだけでそこまで深く読み取れなかった。

ただ感じたことがある。それは、日常っていうのはこういうことなのかもしれないなぁと思った。というのは、この作品は情景を描き続けるようなスタンスでいる。

けれども私たちだって大したストーリーがあるわけではなくって、日々ただご飯食べて仕事して寝て、時々遊んでという感じだ。それが現実なんだなって思った。

だからこの場面を切り取って本にしただけだと、読みにくくて仕方なかったけれど、これが私たちでもあるよな。

そんなことを思った。

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