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ゴミのポイ捨て妄想記 #2~出張帰りの日用品~
32歳女。外資コンサルでバリバリ働いている。
仕事でフランスに1ヶ月滞在していたが、ようやく今日帰ってきた。
行きの時には、長いことフランスにいるため、家にある全ての衣類や化粧品、コンタクトレンズなどをパンパンに詰めていた。
なので、フランス最終日には、カバンの中は結構空いていた。しかし、取引先の相手から大量のお土産を預かったり、友達に渡す用のお土産がその代わりに入っていた。
成田国際空港到着。朝8時。
1秒でも早く家に帰りたかったが、生憎、家には化粧品やコンタクトレンズ等の消耗品は残ってない。
それに加え、今日から生理が始まった。ナプキン買わなくちゃ。
色々限界だったため、空港の免税店でコンタクトレンズ、ナプキンを買った(なんかレジでお菓子もらった)。
トイレに行って、コンタクトをはめ、ナプキンを交換できた。
ふー。一安心。でもどうしよう。
カバンはパンパンだ。手で持つしかない。疲れて力も残ってなかったが、お金を払ってレジ袋に入れるのも癪だったので、手で持ちながら電車に乗った。
途中まで、良いポジションを見つけては辛くなるまで運び、辛くなったら立ち止まり、別のポジションを見つけていた。
会社への報告を済ませ、帰路に着くとすっかり夜。
手も腕も限界に近づいていた。
しかもコンタクトレンズとナプキンを入ってる箱は少し空いてる。ガシャーーン!!と落とすことだけは避けなければならない。
最寄りから家まで徒歩20分。
いつもは会社帰りに綺麗な川沿いを歩けるのでこの道は好きだったが、今日はこの道は嫌いになった。
「グーーーーゥ。」腹の虫が鳴った。
飛行機を降りてから何も食べてないことに気づいた。
右手が少しフリーだったので、免税店のレジで貰ったお菓子を食べた。
食べ終わって、ポッケにゴミを入れようとした瞬間、全てのバランスが崩れた。
自分の身長の半分位あるキャリーケースはスーパー堤防の下を転げ落ち、川に落ちるギリギリで止まっていた。
よかった。カバンを持ち直したその瞬間。地面と自分の尻の間に違和感を感じた。
コンタクトレンズとナプキンが散らばっていた。
落とした全ての物を拾い上げたが、どうしても元々それらが入っていた箱を拾い上げる気も起きず、そもそも拾い上げる力も残っておらず、
ただのゴミと化したその箱をその場に置いていくことにした。
罪悪感からか、近くに並べておいた。
ポッケから知らぬうちに落ちた元凶と共に。