autodidacticism,独学主義とは何か(2,105文字)
autodidacticismとは何でしょうか。独学,独学主義と言われ,教師によらない独自の学習を指す言葉として意味されているようです。
通常の独学に関する英語はself-educationと訳されます。これは自分を教育する。という意味合いが強く感じられますね。一般的にはそれほど分けて考えることは無いようですが,autodidacticismの場合は思想的に捉えられることが多いようです。
独学と私たちが言う時,参考書を購入して自分で勉強することを指すでしょうか,それともなんらかの主題に対して追求する姿勢を指すでしょうか。独学で,という時,多くは資格などを学校に行かずに取得することが多いような気もしますが,これはその人の環境によって違うのだろうと思います。
この世界の課題の多くには答えがありません。それどころか,それを課題であると考えてすらいないこともままあると思います。また,すでに答えの出ている課題においても,その答えが必ずしも正しいとは限りません。ましてや個人の内面においては尚更ではないでしょうか。
イヴァン・イリッチ(イヴァン・イリイチ)による「脱学校の社会」脱学校の社会 - イヴァン・イリッチ/東洋/小澤周三 訳|東京創元社 (tsogen.co.jp) はある意味,独学主義者の考え方の一つと言うことも出来ると思います。イヴァン・イリッチについてはあらためてコラムを書いてみたいと思いますが,まずはイヴァン・イリッチの「脱学校の社会」が独学主義に通じるということを書いておきたいと思います。
私達は,学ぶことにより日々の問題を解決しています。また,問題を解決することからも学ぶことがあることに注意が必要だと私は考えます。多くの場合,人は他人の知識を利用して危機を避けることが教育の効果だと思いがちです。しかし,失敗から学ぶというように,問題に取り組むことで学ぶことがあることも知られています。
例えば,アクティブラーニングなどはその一例ではないでしょうか。文部科学省の定義を検索すると,文部科学省の用語解説として,2013年に作成された 1212958_002.pdf (mext.go.jp) が見つかりました。以下に引用します。
「伝統的な教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学習者の能動的な学習 への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学習者が能動的に学ぶことによって,後 で学んだ情報を思い出しやすい,あるいは異なる文脈でもその情報を使いこなしやす いという理由から用いられる教授法。発見学習,問題解決学習,経験学習,調査学習 などが含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ ・ワークなどを行うことでも取り入れられる。」(文部科学省, 2013)
アクティブラーニングには発見学習や,問題解決学習,経験学習,調査学習などが含まれることが分かります。アクティブラーニングには問題点が多々指摘されていることはあらためて記述いたしますが,発見の過程としての学習は,例えば,以前に取り上げた,考える:教育学者「ピアジェ」と「ヴィゴツキー」,そして「ブルーナー」。構成主義(Constructivism)を考える(2,115文字) におけるヴィゴツキーやブルーナーの考え方にも通じていきます。
つまり,知識とは経験の連鎖によりそれがあらわされ,その知識は内面化されうるわけです。
その正しさを学校などは担保するわけですが,しかし,その正しさにも疑義があり,学校のありように疑いの目が向けられる状態も常態的に存在しているわけです。
例えば,日本では戦前,富国強兵の名のもとに学校は存在していましたし,ヨーロッパやイギリスにおいても,学校の役割に,それらが含まれていたことは周知の事実だと思われます。
独学主義はそれらから一線を画します。人は学びたいこと,そして学ぶべきことを取捨選択し,学ぶことが出来るわけです。ただ,それは非常に厳しい日々を過ごすことを意味します。そして,日本においては多くの場合それらは一切評価されません。
独学主義とはなんでしょう。優れていると言われる人々は,多くの場合独学主義者であると私は考えています。それは,有名大学を出ていようと,中学校卒業者であろうと,または不登校者であろうと,変わりはないように思えます。
独学主義のもっともよいと思える側面は,自分のペースで学ぶことが出来るということではないでしょうか。ゆっくりもそうですが,とても早く学ぶことも可能です。どちらが良いのかについては簡単に結論を求めることはできないと考えます。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。ご意見やご教示,またコメントなどございましたら頂戴できれば幸いに思います。
今後はイヴァン・イリッチの脱学校の社会について,また,独学主義者についても詳細なレポートを行いたいと考えています。
今後ともよろしくお願いいたします。
※記事中にある情報は2022年12月7日現在です。
※記事は個人の意見及び主観です。正確にはそれぞれの引用元の情報や,専門の書籍などをご参照ください。
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