大人にとっての友達って過小評価されがち|男はなぜ孤独死するのか(トーマス・ジョイナー)
衝撃的なタイトルをSNSで見かけ、思わずAmazonで購入。
「男はなぜ孤独死するのか」は、現代において(成人した)男性がいかにして孤独になっていくか、その原因は何か、そしてそこから脱するにはどうすべきかということについて書かれた本である。
本書は「男性」について焦点を当てて書かれている本だが、筆者も述べているように、男女問わず、特に成人した人間に広く通じる普遍的な孤独についての洞察がまとめられている。
また、本書はアメリカの多人種・多文化を背景に書かれている主張も多いため、ストンと腑に落ちる内容ばかりではないが、興味深い記述も非常に多い。
ページをめくりながら思わずドキッとする。
まさに成人期に移行している真っ只中(学生→社会人という意味では)の自分はこの文章に釘付けにされる。
往々にして、僕らは友人と過ごすなんでもない時間を軽視しがちだ。
生産性なんてない、お決まりのくだりで笑い合うだけの、しょうもない時間。
そういった時間が与えてくれる人生への正の影響は過小評価されがちだ。
掃いて捨てるほど時間があった学生時代が終わり、
仕事に1日の大部分を捧げることになり、家族ができればそこに費やす時間も当然増える。
能動的にひとりでいる時間や、旧友と会う時間、ましてや新しく友人を作る時間なんてない。
なにより、相手も忙しいだろうからと、連絡しない言い訳にする。
会えば99%楽しいはずなのに、普段つながりが無い人に連絡するのはなかなかエネルギーがいるもの。
そうやって、「大人な」理由で自分を言いくるめて、気づけば友人がいなくなる。この上なく絶望的な将来の展望だ。
友人との血のつながったつながりは人生において重要であるし、
それを維持するにはかなりの努力が必要であるということ。
仕事での成功によって充実した人生を送っていると錯覚することについても本書では触れられている。
まさにこれから自分が踏み込もうとしている未来にこのような結果が待っていることが不安で仕方ない。
本書の後半では、孤独に対するいくつかの処方箋について言及がある。
具体的には、「電話をすること」「同窓会を開くこと」「睡眠をとること」「自然と触れること」などが言及されているが、
要は社会や他者とのつながり、連帯を感じることのできる場所や体験に自らを投じるべきだということだと思う。
僕にとってはライブに行くことがここに該当する。
1人で参戦することが多いが、ライブ中に感じる一体感、いろんなものが混ざり合っていく多幸感は日常生活では感じられないものだ。
ライブに行くことや、旧友に久しぶりに連絡すること。今ある定期的な友人の集まりに顔を出すこと。
忙しい生活の中で、これらの営みを止めることは難しいことでは無いし、
誰かに強く咎められることではない。
それでも、そういったつながりを実感できるものに時間を割く努力をすることは幸福な人生において必ず必要なことだと思う。
優先順位を、見誤らないようにしたい。