【読書記録#23】田内学『きみのお金は誰のため』
元ゴールドマンのトレーダーによる小説。
物語を通じてお金の正体や、社会の仕組みを解説している物語となっている。
巷に投資系の本が溢れてきた、国も資産運用立国を標榜し始めた。それ自体は良い流れだと思う。
しかし運用という側面のみにフォーカスしてしまうと、何に投資をしているのか?手触り感が無いただの数字の動きに成り下がってしまう気がする。
金融というのは資金不足主体の資金需要があってこそ成立する営みだ。お金がどう使われているのかを認識することはマネーリテラシーをあげる上で大事な要素なのではないだろうか。
そんな中で本書は、お金がどう使われているのか、ひいては社会はどう構成されているのかを知る一助になりえると思う。
作中に登場する外資系金融機関勤務の女性が経済に対する知識が浅めなのが少し引っかかったが、そこは物語の構成上仕方ないのかな。