【読書記録#32】ジョージ・オーウェル『一九八四年』

言わずもがな世界的名著。
やっと読めた。

打ちのめされた。面白い、凄い。
そして救いがない。徹底的な暗さ。

舞台はビッグブラザー率いる「党」によって支配されたオセアニア(旧英国)※。
※現代のオーストラリア、ニュージーランドあたりを指すオセアニアではない。

党の役人ながら、党の支配体制に疑問を持つウィンストンという男が主人公。

党の支配というものが生半可なものではない。

党の支配というものが生半可なものではない。
「戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり」
というスローガンの下、徹底的な監視、過去改変、拷問、粛清、ありとあらゆる手段で人々に思考を放棄させ、党の思想を個人の人格に染みつけていく。

そうして人々には過去も未来もなく、ただ今を無自覚に生きる個人=党が出来上がる。

そんな中で反逆の芽としてウィンストンが描かれるが、そんなウィンストンの企ても党の前では無惨に敗れ去る。
凄惨な拷問、相互告発によってウィンストンの人格は破壊されていく…。

そして、
「彼(ウィンストン)は今、ビッグブラザーを愛していた。」
この描写で物語が終わる。

反発し打倒すら目指した党、ビッグブラザーを最終的には愛して、そして死んでしまう。

救いのないディストピア小説だ。

人々はこの物語のあらゆるエピソードにそれぞれの時代における社会的病巣との類似性を見出してきた。だからこそおよそ70年間も読み継がれてきたのだろう。

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