【POEM】
【 哀願 】
お前は幻
砕けぬ身の蝶
潤んだ瞳を開いて
道理以前
悦豫を知る
紅い果実が
哀願
その時 涙が流れて
異形美 輝く
蝙蝠ばかりの
夜更けの街角
伸び出す首筋
汝発覚
道理不純
儚く散れ
蒼い果実が
哀願
背けた横顔 愛した
舞う蝶 背中に
熟れた果実が
哀願
その身の極みは深淵
異形美 煌めく
お前の胸奥
燃え上がる情熱
セーヌ・エ・トアーズの春の日
何者かを照らす
真昼の太陽
喩えにならぬこの現実
足音 途切れる
お前が笑う 薄明
堕ちた果実が
哀願
その美に屈した
瞳に炎が
割れた果実が
哀願
この世で生き死ぬ
異形美 礼讃