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美瑛の白樺並木の伐採について

美瑛町の白樺並木が伐採されたというニュースを聞きました。セブンスターの木近くの白樺並木がオーバーツーリズムが原因で伐採されてしまったようです。絶景ポイントがまた一つ無くなってしまい、とても残念でなりません。

オーバーツーリズムだけが問題なのか

白樺並木の伐採の理由

例えば、京都のバスや江ノ電に地域住民が乗車できないというのは明らかにオーバーツーリズムだと思います。居住している方々の日常生活がままならないほど、観光客で溢れてしまうのは放ってはおけない事態だと思います。しかし、今回の白樺並木の伐採は

1畑に入って、農地を荒らす
2道路に広がり地元の人の往来に支障が出ている

と言ったことが理由のようです。オーバーツーリズムもそうですが、むしろマナー違反やエチケットの問題なのではないでしょうか。

伐採された白樺並木での出来事

一昨年、セブンスターの木の近くの白樺並木を撮影に美瑛町を訪れました。写真がそれです。駐車場に車を止めて、少し離れた場所に撮影ポイントをさがして回りました。12月の美瑛はすっかり雪に覆われていて、白いカーペットが敷かれたような銀世界が広がっていました。残念なことに、畑の中にたくさんの足跡がありました。また至る所に、「立入禁止」と日本語、英語、中国語、ハングルで書かれた看板が立てられているにも関わらずです。
白樺並木に戻り、近景を撮影しようと近づくと、畑の中で大騒ぎしている集団がいました。10人くらいの集団が畑の中ではしゃいでいるのです。言葉の感じからすると、台湾か中国の方のようでした。
「ここは農地だから、入ってはだめですよ。外国の方?」
と最初は穏やかに話しかけましたが、よくよく見ると、立入禁止の看板が集団の目の前にあるではありませんか。
「その看板、読めないのか!すぐに出なさい!」
と声を荒げてしまいました。
台湾の方であったのならば、見慣れない雪にはしゃいで雪合戦をしたい気持ちもわかります。旅行でテンションがあがるのも良くわかります。でも、そこの場所で生活している人たちには関係のない話しです。そもそも私有地に無断で立ち入るのは犯罪です。

外国人だけではない

オーバーツーリズムというと外国人旅行者をイメージしがちですが、日本人にもマナーの悪い人は大勢います。
昨年の夏、美ヶ原高原で撮影をしていると採草放牧地に入って大騒ぎしている若者に遭遇しました。
「君たちは学生?」
「いえ社会人です。」
「大人なら看板も読めるし、採草放牧地に立入禁止の理由くらいわかるよね?狂牛病とか家畜感染症のために人が入れないようにしてるんだよ。すぐに出なさい!」
もっと厳しい言葉でしたが注意をしました。
旅の恥はかき捨てと言う諺があるとおり、日本人だから、マナーが良いというのは大間違いです。

新宿トーヨコ

マナーの問題


マナーを教える人がいない?

若き頃、初めての海外旅行はハワイでした。ホノルル空港からツアーバスでパイナップル農園やヌアヌパリなどを回らされ、ホテルのチェックインの時間までの時間稼ぎをしていただきました。その時の現地のバスガイドさん(日系人か日本人)にエチケットやマナーを教えて頂いたことを思い出します。チップのことや文化、風習などを少しの時間でしたが、大変参考になりました。とはいえ、夜おそくまで、はしゃぎすぎて、下の階の部屋の方に怒鳴り込まれた事もありましたが。今となっては反省しきりであります。
現在、観光バスにガイドさんているのでしょうか?ツアーコンダクターもいない旅行が増えているので、なかなかエチケットやマナーを教える機会が無いのかもしれません。

悪意のあるガイド?

京都の祇園には小路に、情緒溢れる風景がとても美しい場所です。思わずカメラを向けたくなります。最近では、外国人観光客が生活道路にまで、また住民の土地に無断で立ち入り撮影をしたり、ゴミをすてたりといった問題が多発し、立入禁止となってしまいました。
三年ほど前、祇園の近くに宿をとり撮影に行こうと計画したのですが、立入禁止の看板が立てられ、残念ながら撮影を諦めたことがありました。
ワイドショーを見ていると、日本人のガイドがついていながら祇園の小路に入り込み外国人が撮影をしているケースもありました。
「看板にきづかなかった」
と言っていましたが、そんなことあるのでしょうか?報酬をいただいてガイドをしているのなら、プロ意識の欠如も甚だしいし、本当に残念でなりません。

正直者がバカをみる

クマが処分されると騒ぐのに

秋田県や北海道でクマやヒグマが処分されると、苦情の電話が鳴りやまないという話を聞きます。私も田舎に住んでいるので、ある程度、街に出てきて人間社会の味を覚えてしまったクマなどの処分は致し方ないと思っています。地元、軽井沢の処分をせずにパトロールや追い払いなどで効果をあげている対策には本当に頭が下がります。
では白樺が何か悪いことをしたのでしょうか?悪いことをしたのは人間です。餌付けされた野生動物も、悪いことをしたのは人間です。白樺にも命があります。

心の師、立川談志曰く

我が尊敬する落語家、立川談志さんは「人の業」「人間はやらなくても良いことをして、やらなきゃいけないことをしない」と言いました。今回のことはまさにそれなのではないでしょうか。
やらなきゃいけないことは、オーバーツーリズムを抑える事、観光客にマナーを守らせる事ではないでしょうか。白樺は切られても文句は言いませんし、観光客も来なくなります。でも、あれだけの絶景が安易な伐採という解決法で片付けられてしまって、本当によかったのでしょうか。

正直者がバカを見る

マナーを守って、こういう絶景を残したいと思い、出来るだけ迷惑をかけないようにと思い写真を撮影している私にとっては悲しすぎる結果です。やったもん勝ちみたいな結果にとても憤りを覚えます。
美瑛ではマイルドセブンの丘のカラマツも伐採され、ここ数年で、美しい風景が二つも失われてしまいました。風景は、日常、見慣れてしまうかもしれませんが、一度失ってしまうと二度とその美しい光景を見ることは出来ません。
行政も、観光地としてこの場所を利用しているのであれば、もう少し解決法を検討することは出来なかったでしょうか。この場所の駐車場は無料で開放されています。駐車場代をとって、ガードマンをつけるなど対策を講じることはできなかったでしょうか。写真を撮る側の立場とすると、このように美しい風景が失われることが、一番残念な結果です。マナーを守りましょう。

失われた風景

最後に

この白樺を所有している方もいらっしゃるみたいです。その方に文句を言うつもりは一切ございません。近隣の農地の所有者の方々、こんな美しい風景を形成していただき、本当にありがとうございました。感謝しかございません。伐採も苦渋の決断であったろうと思います。この写真は私の財産となりました。ありがとうございました。願わくば、夏の写真も撮りたかったです。感謝。

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