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【詩】ある秋の日に

公園の樹に張り紙がしてあった
老朽により倒木の恐れがるため
いついつごろに伐採うんぬんと
見れば3メートルほどの老樹

色褪せた樹皮
痩せてスカスカの幹
無造作に切られた枝
力なく揺れるまばらな葉

もっともな理由だろうが
ずいぶんと身勝手な理由でもある
この樹が苗木から植えられたのか
他から運んできたものなのか
どちらにせよ ひとの都合である

勝手に植樹され
まともな管理もされず
あげく老朽化により伐採と
まことに身勝手な理由である

それでも樹はものをいわぬ
というのもおそらくひとの都合で
樹がどれだけ叫んだところで
ひとの耳には届かない
そういう仕様になっているのだ
彼らの声を耳にしたらきっと
ひとは正気でいられまい

公園のそばを歩くたび
同じく樹の声を聞けず
また聞く勇気もない
己のこころの在りように
不自然に設けてしまった
自然とのへだたりを
ひしひしと感じながら
本当に枯れてしまったのは
ひとのほうではなかろうかと
そんなことを思うのである

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