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週刊「海事10大ニュース」(25.2.2〜8)


①「海運アライアンス」新体制スタート

 新しい海運アライアンス「プレミア・アライアンス」が正式にスタートした。プレミア・アライアンスはオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、日本郵船・商船三井・川崎汽船の持株会社)、HMM(韓国)、陽明海運(台湾)の3社で構成される。
 当該3社は元々、「THE alliance」のメンバーであった。しかし、「THE aliance」の主要メンバーだったハパックロイド(ドイツ)が、船腹量世界2位のマースク(デンマーク)と手を組むために脱退することで、アライアンス自体の存続が危ぶまれていた。

アライアンスの変遷(拓殖大学・松田琢磨教授による)


②追突事故受け 自動運転バス実証実験延期へ(熊本)

 熊本市は1月30日の追突事故を受け、2月10日を予定していた自動運転バスの一般運行開始を延期した。
 事故により、リアガラス及び車体右後部が破損した。一般運行開始日は未定。

https://www.city.kumamoto.jp/kiji00362051/3_62051_433812_up_z6sjn30d.pdf

③川崎汽船 新社長に五十嵐専務

 川崎汽船は4日、3月28日付で五十嵐武宣専務執行役員が次期社長に昇格するトップ人事を内定したと発表した。
 五十嵐氏は91年早稲田大学法学部卒業後、川崎汽船に入社。

④海運3社大幅増益

 海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)の2021 4年4〜12月期連結決算が5日出そろった。
 商船三井の2025年3月期 第3四半期決算短信によれば、紅海情勢の緊迫化に伴い船腹供給制約により運賃が高水準になったことと、アジア発北米向けを中心とした需要増加が重なったことで、コンテナ船事業が大幅増益となった。

https://www.nyk.com/ir/library/highlights/2024/__icsFiles/afieldfile/2025/02/04/250205_tanshin_jp.pdf

https://ir.mol.co.jp/ja/ir/library/mrsfcfh/main/00/teaserItems1/01112/linkList/03/link/(J)2024.3Q%20Financial%20Highlights.pdf

https://data.swcms.net/file/kline-corp/dam/jcr:810796ba-f2b3-485e-b6db-6a44d9dfc059/140120250203561162.pdf

⑤自動運航船 「移動型陸上支援センター」完成

 日本財団は、2020年より無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」を進めている。5日、陸上から複数船舶を遠隔で航行支援する「移動型」の陸上支援センターが完成した。
 カーゴトレーラー型の支援施設から、最新の通信機器や大型モニターで航行中の船舶を遠隔監視し、非常時には操船をすることも可能。
 災害などの緊急時には、けん引して安全な場所へと移動させ、家庭用電源や電気自動車からの給電で稼働する。
 操作ブースは前後に席が並ぶタンデムシート型。前方では海図や船体カメラを監視して船長をサポートし、後方はエンジン系のモニタリング画面が表示され、機関長の業務を代行できる。通信には衛星通信「スターリンク」を採用し、電波状態が悪い時にはLTE回線などに切り替え、複数船舶の遠隔操船にも対応する。

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02488/%0A

⑥阪急阪神HD 国際損失17億円

 阪急阪神ホールディングスは、2024年度の国際輸送セグメントの営業収益が前年同期比3%増の778億円、営業損益が17億円の赤字(前年同期は7億3200万円の黒字)となった。海外法人において、為替の影響によって円換算額が増加したこと等により増収したものの、日本や東アジアを中心に貨物の取扱いが低迷していること等により減益となった。
 しかし、鉄道事業のコロナ禍からの回復や、インバウンド需要による宿泊部門の好調などにより、全体の営業利益は昨年度よりも増加している。

https://www.hankyu-hanshin.co.jp/docs/9716ce68755560e9e2ef99013187d7f9d4062c5b.pdf

⑦ロシア EU域内のLNG積み替え禁止措置への準備開始

 EUは昨年6月、対ロシア制裁としてロシア産液化天然ガス(LNG)をEU域内で第三国向けに積み替えることを禁止することを決定した。同制裁は来月頃から適用されるとみられる。
 そのためロシアは船舶間積み替えを行うべく、小規模な船隊を準備しているとのこと。

⑧EU 水質汚染が深刻化

 4日の欧州委員会の報告書によれば、2021年時点のEU域内の湖・河川・沿岸域などの水域のうち、生態学的に良好な状態の水域は39.5%であった。また、化学的に汚染されていない水域の割合は、2015年の33%から26.8%に低下した。

https://www.reuters.com/world/europe/europes-water-resources-under-pressure-most-surface-bodies-polluted-eu-says-2025-02-04/?utm_source=Sailthru&utm_medium=Newsletter&utm_campaign=Sustainable-Switch&utm_term=020425&lctg=60b42098ac2c9369f111f4c6

⑨欧州委員会に対し、過度の規制緩和をしないよう投資家グループが要望

 欧州産業界の一部は欧州委員会に対し、持続可能政策に関する企業の報告義務の緩和を求めている。欧州委員会はそれに対応するかたちで、報告義務に関する規則、企業のサプライチェーンに関する規則等を全面的に見直し、2月末までに緩和策を発表するとしている。
 こうした欧州委員会の動きに対して、合計で6.6 兆ユーロ(約 1056 兆円)の投資資金を運用する投資家グループは、上記関連規制の全面的な見直しは政策の継続性や信頼性を損ない、European Green Deal を支援するための投資意欲を削ぐこととなるとして、規制緩和しないように要請した。

https://www.reuters.com/markets/europe/investors-with-6-trillion-euros-warn-eu-not-weaken-green-rules-2025-02-03/

⑩北極点の気温が平均より20℃上昇 氷の融解点超える

 2日、北極点の気温が1991年〜2020年の平均気温と比較して20℃以上上昇し、氷の融解点を超えた。フィンランド気象庁は、過去最高とまではいかないものの、極めて異常な気温上昇としている。地球温暖化により太陽光を反射する役割をしている海氷が減ったことで、北極圏の気温が上昇している。また、アイスランド上空の強力な低気圧の影響で、暖かな空気が北極点に強く吹き込んでいることも原因である。


(⑧、⑨、⑩は、神戸大学客員教授の長谷部先生に頂いた情報を参照して記述しております。)

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