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自分的「海事10大ニュース」(25.01.12〜18)
①寒波の原因「ラニーニャ現象に近い状態」解消へ
今月10日、気象庁は「ラニーニャ現象」に近い状態は次第に解消し、春以降、熱帯の海面水温は平常の状態となる可能性が高まったと発表した。
今冬は例年より雪が多く、厳しい寒さとなっている。その原因が、海面水温や気圧分布がラニーニャ現象に近い状態となっていることである。しかし次第に平時の状態となり、3月は平年よりも高い気温となる予測。
冬季にラニーニャ現象が発生すると、西高東低の気圧配置が強まり、日本の気温は低くなる傾向がある。
何らかの要因で貿易風が平常時より強まると、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなる。そのため赤道付近の海面水温が低くなり、この状態を「ラニーニャ現象」と呼ぶ。
ラニーニャ現象が発生すると、太平洋西部赤道域(インドネシア近海)の海面水温が高くなる。対流活動がより活発になり、より多くの空気が上昇する。この上昇した空気が北側で下降し、そこで高気圧を強化して偏西風を大きく蛇行させる。このことが日本へ寒冬をもたらす。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3741675a19136a303442820cbbd6c30f6afc53a0
②中国 輸出額と貿易黒字が過去最高 トランプ氏復帰が要因か
中国の2024年の輸出額(ドル建て)は前年比5.9%増の3兆5772億ドル(約563兆円)で、過去最高を更新した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字も9921億ドルで過去最大となった。
要因としては、①国内需要の低下を補うために輸出を強化したこと、②中国製品に高い関税をかけることを明言しているトランプ米大統領の復帰を前に、輸出を急いだことが考えられる。
③古野・寺崎 データ基盤連携
9日、古野電気の「FOP(フルノ・オープン・プラットフォーム)」と寺崎電気産業の「TMIP(テラサキ・マリン・インフォメーション・プラットフォーム)を連携した「TMIP×FOP」が三菱鉱石輸送の船舶に採用された。
船上でTMIPが航海系・機関系データ等を収集し、陸上のFOPクラウドサーバーに送信する。「TMIP×FOP」は本船データモニタリングと高粒度データの取得をとおして、障害発生時の早期解決を支援する。
④カナダ北極海域、ノルウェー海海域 ECAに追加
14日発行「ClassNK テクニカルインフォメーション」において、24 年 10 月に開催された IMO 第 82 回海洋環境保護委員会(MEPC82)において、カナダ北極海域及びノルウェー海海域を新たに排出規制海域(Emission Control Areas:ECA)として指定するANNEX VI の改正案が採択されたことが紹介された。
カナダ北極海域及びノルウェー海海域が、NOx (窒素酸化物0)並びにSOx (硫黄酸化物)及びPM(粒子状物質)に対するECA として指定され、当改正は26年3月1日に発効する。
⑤自律航行船 旅客を乗せた試験運航はじまる 広島・大崎上島町
離島住民の生活維持が課題である大崎上島町では、2021年から「自律航行船」の実用化に向けた実験を行なっている。本実験は、株式会社エイトノットの主導により進められている。
13日から3月末までの間、竹原港から大崎上島町の港まで、フェリーの運航時間外にあたる早朝と夜間に自律航行船を旅客便として試験運行する。本格導入を意識し、一人1000円の運賃を徴収するとのこと。
運航に用いるのは、自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」を搭載した「スマート海上バス ゆき姫」。同時に、生野島への生協ひろしま宅配サービスもスタートする。
https://www.town.osakikamijima.hiroshima.jp/soshiki/kikaku/1_1/kaizyoukoutu/7519.html%0A%0A
⑥スエズ運河伏線化の試験航行成功
エジプト運河庁は昨年12月28日、スエズ運河の南端付近に設けた全長10kmの複線化工事で、試験航行が成功したと発表した。
21年に大型コンテナ船がスエズ運河で座礁し、6日間にわたって運河が閉鎖された。この事態を受け、運河南部の二重水路の延長計画と既存水路の拡幅を進めていた。
⑦福山大学工学部 「海洋機械コース」新設
広島県の私立大学である、福山大学工学部機械システム工学科は「海洋機械コース」を新設し、来年度より「機械システムコース」との2コース制が開始する。
海洋機械コース創設の目的は、海洋機械工学の基礎の確実の習得と、実習による知識の定着により、瀬戸内をはじめとする海洋立国日本の海事産業を支えていく人材を育成することとしている。
福山市のある瀬戸内地域は造船業・舶用工業の集積地であり、同大学は「福山大学は、本格的な『海洋・機械工学』が学べる中・四国唯一の私立大学です。」との謳い文句を掲げている。
⑧18日から 初の自動運転レベル2実証へ
観光交通の充実を図る清水港・日の出地区で18日から、初の自動運転レベル2(特定条件下での自動運転機能)による実証走行が実施される。目的は、岸壁エリアの技術的課題の整理と、社会全体の受け入れ環境を構築することである。
実証には静岡市、清水港振興、鈴与、鈴与建設、大成建設、ティアフォー、損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメントが参画。車両はティアフォー製の自動運転EV「Minishuttle」を使用し、LiDAR、カメラ、GPSなどを搭載している。
⑨米通商代表部 「中国の市場支配は不当」調査報告
米通商代表部(USTR)は16日、中国が世界の海運・物流・造船市場を「不当に支配」しており、「米通商法に基づく措置が可能」とする調査報告書を発表した。USTRは「中国の国有機関が資金を提供し、中国の海運会社が保有する中国建造の船で米国の国際貿易が行われることは、中国が優位に立つ海運・物流インフラへの依存を意味する」と警鐘を鳴らしている。
USTRは今回の調査結果に基づく措置について「後日、調査の次の段階で検討される」とし、20日に発足するトランプ政権に委ねられることになった。
⑩富山高専 推薦入試
商船系高等専門学校のひとつ、富山高等専門学校の本科入学者選抜(推薦による選抜)が13日実施された。
商船学科の定員は40名で、推薦選抜では23名が出願している。残る「学力検査による選抜」は2月9日に予定されている。
https://www.nc-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2025/01/d3c8b921d985fe0c1691bac89710ff8c.pdf