見出し画像

なぜ一関市藤沢町に応募したのか?

総務省のHPを見ると、令和4年度で6,447名の隊員が全国で活動しているそうです。本日時点で全国には1,724の市町村がありますから、単純計算をすると1地域平均3~4名の隊員が活動していることになります(もちろん全部の地域が募集しているわけではありませんが)。一関市は現在、私が知っているだけでも14名の隊員が活動しているので、活発に地域おこしがされているんだなぁということを改めて感じました。
さて、今回はそんな一関市の中でもなぜ私は藤沢地域を選んだのか、応募前にどんなところを見ていたのか、実際の募集要項(一部抜粋)と照らし合わせながらお話しできればと思います。
もしかしたら、これから地域おこし協力隊になろうかどうしようか考えている方だけでなく、募集側の参考にもなるかもしれませんので、良かったら気になる箇所だけでも読んでみたください。


活動場所よりミッションを重視

一関・藤沢地域の魅力を引き出す企画職《地域コーディネーター》を募集!

募集内容で一番重視していたのは、その地域で「何をやるか」でした。
「〇〇県で活動したい!」という希望は特になく、人や家ができるだけ少なく、自然が身近で、四季を感じられて、できればポツンと一軒家みたいなところで、家の庭で花火とかBBQとかできたらいいな、畑とかもやれちゃったりして、と場所についてはざっくりとした理想を描いているだけでした。
それよりも、その地域が求めている人物像やスキルが自分と合っているのか、掲げているミッションが自分のやりたいことなのかを見ていました。できるだけミスマッチが起こらないように、ひとつでも当てはまらなかったら見送ったり、「興味ある」だけ押しておいて保留にしたりしていました。もしくは、それに応える努力ができるかどうか自問自答しながら見ていました。人には向き不向きがあります。できないこともあります。全部頑張ろうとしないで、頑張りすぎて潰れないように、楽しく頑張れるものを選んだ方が良いと思います。

当時、私は「農業」「教育」「観光」というキーワードで活動場所を探していて、やりたいことは、交流の場づくり、ツアー企画、ワークショップの開催、木工創作、青空教室、サマーキャンプ、農業体験イベント、キャンプ場の開設、ゲストハウスの開設などを考えていました。事前に、自分の興味のあるもの、やりたいこと、好きなことをできるだけたくさん書き出しておくのが良いかもしれません。

活動地域の紹介

藤沢地域は岩手県の南端に位置している人口7,000人余りの地域です。面積は123㎢、60%が標高200mから480mの北上山系からなる中山間地域です。
世界的芸術家(故)岡本太郎氏が感銘し、作品制作のモチーフにもなった藤沢野焼祭が有名で、毎年お盆を迎える時期には土器を焼く縄文の炎がまちを賑わせます。地域の道すがらにも数々の陶芸作品が展示されています。
また、中山間地域のため、林檎などの果樹やピーマンなどの園芸も盛んに行われております。観光では、四季折々の花が色鮮やかに楽しめるArk館ヶ森や岩手サファリパークなどのファミリー層向けの施設があります。キリシタン殉教公園には、近年インバウンドの来訪者も増加してきています。

私にぴったりの地域だと思いました。人や家が少なそうで、自然が身近で、四季を感じられそうで、交流の場づくりやツアー企画、農業体験イベントができそうな地域だなと思いました。

協力隊の募集背景

藤沢地域では、スモークハウス、手づくりパン屋さん、どぶろく工房兼民宿、やぎのミルク石鹸など、個々の事業者が様々な取り組みをしておりますが、伝統の藤沢野焼祭などのイベントも含め、年々事業者や運営者の高齢化のため地域の活力が少しづつ失われつつあります。人口減少や高齢化は、残念ながら食い止めることはできませんが、そうした中で、地域で新しい企画や活動を行う人材が求められています。

募集背景は大切です。その地域がなぜ地域おこし協力隊を募集することになったのか、どういう人材が必要なのか知れる部分でもあります。私は着任前に様々な地域の募集要項を見ましたが、中には募集背景がよくわからない地域もありました。
藤沢地域は調べてみると住民自治の思想が根付いているそうで、活発に活動されている方が多かったり、自分のやりたいことができそうだと思ったのに加えて一緒にやってくれる人がいそうだと思ったのも決め手のひとつです。また、大学の頃、小さい規模ですがイベント企画をしていたり、前職が広告代理店だったりしたので、今までの経験も活かせそうだなと思いました。

基本業務

着任後1年間は、藤沢地域を主な活動拠点とし、観光・農業・芸術(陶芸)など藤沢地域を体感いただきます。2年目以降は、1年目に地域で体感した課題や可能性と、ご自身の経験・スキルをもとに、どの分野でも構いませんが、地域に関係する様々な企画を行っていただきます。具体的には、地域へのヒアリングした結果や、ご自身のスキルに応じて、企画を行います。

《観光分野の場合》
地域の観光マップの制作・ファミリー向けの旅行モニターツアーの実施・お土産商品の企画・販売など
《農業分野の場合》
担い手支援・交流人口拡大のための農業体験イベントの実施、特産品の開発・販売など
《芸術分野の場合》
陶芸体験企画の実施、陶芸作品制作・販売、陶芸商品の企画、作品の窯入れ体験等のイベントの企画など
※上記はイメージになります。他のことに取り組むことも提案次第では可能です。どの分野のチャレンジも歓迎します。分野を組み合わせた事業提案も可能です。

いきなり企画し、事業化を目指すのではなく「地域を知る・知ってもらう1年目、小さくはじめる2年目、事業化を目指す3年目」というステップアップを想定しています。その他の業務としては、地域おこし協力隊として必須の日報や月報、報告書等の作成業務があります。また、必要な研修の受講などもあります。

3年間の道筋が示されていることは、自由度が高い「地域コーディネーター」のような職種にはとても大切なことでした。この募集のキャッチコピーは『3年間で自分の道を見つける』というもので、「やりたいことは分からない。だけど何かやりたい。動き出したい。」人向けの募集だったのですが(私はやりたいことがたくさんありましたが)、3年間は長いようで短いので、目的や目標を明確にせず過ごしていたらあっという間に任期が終わってしまいます。地域おこし協力隊は、任期後のことも考えながら活動するという特徴があるので、着任前に仮でもいいので、ざっくりでも3年間の過ごし方が見えたのは安心材料のひとつでした。

スケジュール(例)

8:30出勤、17:15退勤
月曜日・・課内ミーティング、メール対応、企画書作成や書類作成など
火曜日・・地域でのヒアリングor農業体験・陶芸体験・観光コンテンツ体験など
水曜日・・地域の方との企画の打ち合わせなど
木曜日・・翌週のスケジュール調整、企画書作成や書類作成など
金曜日・・休日(※)
土曜日・・休日(※)
日曜日・・休日(※)
(※地域のイベント・行事や、自身のイベント企画等の実施の場合は休日を別日に振替えて対応いただきます)

週4勤務で副業OKという条件が良かったです。副業については、「定住するための活動として副業を行う場合、事前の届け出が必要です。勤務時間外に限ります。」という決まりがありますが、地域おこし協力隊の給料だけでは心配な方も多いと思います。そんな中、副業もOKだし、週3空いているならきちんと休息を取りながら、別の仕事をするなり資格の勉強をするなりできそうだなと思っていました。
実際は、「原則、週25時間を目処に活動」という条件下で曜日も時間も関係なく動いていて、イベントや行事は土日祝が多いので今は平日休みが多いです。まとまった休みはあまりないですが、勤務時間が午前中だけだったり、午後だけだったりするので、空いた時間を使って休んだり好きなことをしたりしています。私は好奇心旺盛でたくさん予定を詰め込んでしまいますが、他の地域の方はきちんとまとまった休みがあるようですので、自分できちんとスケジュール調整ができる人は大丈夫だと思います(笑)

3年後について

3年間の活動の中で見つけた自分の道に進んでください。
事業化を目指したもので起業、活動に関係する企業への就職は歓迎ですので、積極的に応援・ご紹介します。また、そのような形にならずとも、他の地域で仕事をしながら、藤沢地域にも関わってくれることも歓迎です。

この内容は私にとって重要でした。この、「関係人口も歓迎」という内容が応募へのハードルを下げてくれたのです。地域おこし協力隊は、基本的には任期後もその地域に定住するつもりでいることが条件に入っているので、その点で応募先を決めかねているところもありました。行ったこともない、住んだこともない、どういう人たちと過ごすのかわからない地域に、「活動後も定住するつもりでいます」と面接で言える気がしなかったからです。その点、一関市の募集には必ずしも定住という形だけではないということが書いてあったので、まずはやってみようという気持ちになれました。

求めている人材

・様々な人と関わるのが好きな方
・地域で何かチャレンジしてみたい方

私のミッションは本当にたくさんの人と関わります。着任5か月で300枚近くの名刺を配りました。名刺交換をしていない人たちもたくさんいるので、自分が人と関わることを苦と思わない人間で良かったなと心底思います。
また、やりたいことがたくさんあったので、「何かチャレンジしてみたい」という縛りがないことと、私がやりたいことができそうな環境(この時点では、募集要項に載っている町の特徴やYouTube等のネット情報で判断しました)だったことも良かったです。

住む場所

任用期間中の住居は市が手配します。(活動地域に近いエリアでアパートまたは空き家など希望を伺いながら用意する予定ですので採用決定後の担当者へご相談ください。)

地域おこし協力隊が派遣される地域は、不動産情報が乏しいところが多いと思います。実際に藤沢地域は、当時ネットには1件しか情報がありませんでした。その点、市の職員の方と住居を探せるのは安心材料のひとつでした。

雇用関係の有無

委託団体との業務委託契約(税金、保険料、家賃などは自己負担)

この点は少し悩みました。元々は、税金や保険料の観点から、市との雇用関係がある方が良かったのですが(一関市内でも市との雇用関係がある地域もあったのですが)、それよりも藤沢という地域に興味を引かれ、最終的には個人事業主として活動することを決めました。

求められるスキル・経験

以下の4つは、必ず必要となるスキルです。
・人の話を最後まで聞けること
・パソコンの操作(ワード・エクセル・パワーポイント・メール等)が最低限できること
・インターネット、SNS等が活用できること
・行政と地域住民とのコミュニケーションが図れ、地域づくり活動に意欲と情熱があり、積極的に活動できる方

こちらのスキルに関しては、どれも問題ないと思いました。

歓迎するスキル・経験

下記は歓迎スキル・経験です。以下のスキルがない方も採用致しますが、ある方は優先採用を検討します。
・陶芸の知識・経験
・観光のツアー企画等の経験
・農業体験または農業の経験
・デザイン、撮影、執筆、イラスト等のクリエイティブの経験
・企画提案書をパワーポイントで作った経験があること
・地方でのボランティア等の活動経験

こちらに関しては、ない経験もありましたが、ない経験に関しても興味・関心がありましたので、これから経験すれば良いと思っていました。

募集人数

1名

藤沢地域としては1名の募集でしたが、一関市としては18名募集しているタイミングでした。全国でも地域おこし協力隊を募集している地域は、大体1~2名の募集が多いのですが、珍しく18名規模の募集をかけていたのも決め手のひとつです。全枠が埋まったら同期が18名になるというのが心強かったです。一緒に活動するのも楽しそうだなと思いました。

まとめ

以上が、私が応募前に見ていた点です。募集要項の中には上記以外にも条件や情報がありましたが、特に重視していた点を挙げさせていただきました。
これから地域おこし協力隊になろうと考えている方や地域おこし協力隊を募集しようとしている地域の方の参考になれば幸いです。また、他の地域との比較材料として使っていただくのも良いかと思います。もっと詳しく聞きたい点等ございましたら、お気軽にコメントください。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた!