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Nちゃんとガーネットクロウ(GARNET CROW)

せっかく時間あるから今からスコーンを作ろう。そう思ってレシピを確認しながらふと思った。ついでになんか音楽でもかけよう。何の曲でテンションをあげようか、とごそごそとMDを漁った。私の青春時代はまさにMDの時代のだった。吹奏楽のCDを録音したものがほとんどだが、その中にいくつか異色のMDも眠っている。

やっと見つけた。MDの表にはこう書いてある。

『ガーネットクロウ』

ガーネットクロウ(GARNET CROW)は男女4人組バンド。残念ながら、2013年に解散してしまった。

私が持っているガーネットクロウの音源はこのMD一枚だけである。この一枚のMDの中に59曲、おそらくCD4枚分、録音してある。

CDデッキの電源を入れ、MDを挿入してスタート。スコーンの生地を捏ねながら、思わず鼻歌をふふふーんと、そしてところどころ歌詞を口ずさんでいる自分がいた。懐かしい。

あれは高校生の頃。仲良くしていた数名のグループの中にとても優秀な友達がいた。Nちゃん。我が進学校の中でも特に優秀な彼女は、模試を受ければ名だたる大学であろうともひょいひょいとA判定をとっていく子だった。Nちゃんは私とは別の中学の出身だが、中学の頃から彼女の優秀さは風の噂で聴いたことがあるほどだった。

高校に入学して偶然同じクラスになった彼女とはすぐに仲良くなった。勉強は非常にできたが、だからといってとっつきにくい雰囲気は全然なくて、お話は面白かったし、しょっちゅう一緒に行動していた。お昼ご飯も一緒に食べていた。絵がとても上手で誕生日には素敵な絵を描いてくれたこともあった。その絵は今も大切にとってある。

そんな彼女がある日、数枚のCDを貸してくれた。それがガーネットクロウだった。「コナンの主題歌を歌っているんだ。いい曲いっぱいあるから聴いてみて!」そう言って貸してくれた。

私はあまりテレビを見ない家庭で育ったこともあり(そもそもJ-popもバンドも全然知らなかった)、コナンは一度も見たことがなかった。でも大好きな友達の薦めなら聴いてみようとまず薦めてくれた数曲を聴いた。聴いてみて思った。結構好きかもしれないと。そしてMDに全曲を録音したのである。このMDを何年も経った今も大切に聴いているというわけだ。

私が県外の大学に進学したこともあり、Nちゃんとは高校を卒業して以来一度も会っていない。連絡先もわからない。どうしているだろうか。会いたいなぁ。あの面白いおしゃべりをまた聞きたいものだ。

そんなことを考えていたらスコーンが焼き上がった。ああいい匂いだ。匂いとともに音楽が幸せな記憶を連れてきてくれたある午後の話。

せっかくだから今日心を奪われた一曲を。

『Last love song』より

「一人が好きな君と 人が苦手な僕と 不思議だね いつの間にか 溶け合うように並んでいた」

美しい言葉だ。

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