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推し探偵について語りたい

こんにちは、かいりです。
先日、自問自答ガールズのAkikoさんが主宰された『自問自答ホームズ会』第3回の”推し探偵を語る会”に参加しました。とっっても楽しかったです!

その際に頂いた質問について、回答を全てスマホのメモに入力していたので、今回はそれを公開します。当日質問も面白かったので追記しました。
ひたすら私が好きな探偵について語るだけのnote(ファッションについては1回しか触れません笑)ですが、よろしければお読みください♪
トップ画像については、第一巻の書影を使わせて頂いています。


本編の前に

こちらは読み飛ばしてもらっても全然大丈夫です。
実は私は、自分が好きなものに対して「推し」と表現する事に抵抗がありました。
というのも、私のイメージする「推す」って、もっと激しい感情なんですよね。もともとアイドル業界からきた言葉(ですよね?)だから、疑似恋愛的な感情とか、生活の中心になるとか、とてもお金を使うというイメージがあって。私はそこまでではないから、長い間自分の好きなものに対して「推し」という言葉は使っていませんでした。

けど、どうやら世の中の人はもっとカジュアルに「推し」という言葉を使っているのかな?なら、私が好きなものに対しても、伝わりやすい「推し」という言葉を使ってもいいかなと思い始め、実際使い始めたところで今回の会がありました。なので堂々と「推し探偵」と言わせて頂きます。
では本編!

本編1 推し探偵の概要

Q&Aに入る前に、推し探偵の概要をざっと説明します。
私の推し探偵は、S.J.ローザンの『リディア&ビルシリーズ』の、リディア・チンとビル・スミスです。
日本だと東京創元社の創元推理文庫から出ていて、メディア化はされておらず小説のみです。

一巻完結のシリーズで、最も特徴的なのは「巻ごとに語り手が交代する」という点です。基本的に奇数巻はリディア、偶数巻はビルが語り手です。(途中でずれるのですが、その点についての説明は今回割愛します)

リディアとビルは二人とも探偵で、対等な仕事上のパートナーです。探偵ものによくある「探偵と助手」という関係性ではなく、それぞれが仕事を請け負い、必要な時に相手を雇っています。対等な2人の軽妙なやりとりも作品の魅力です。
舞台は出版当時(現代)のアメリカ・ニューヨークで、リディアは中国系移民二世の20代後半の女性、ビルは元軍人の中年白人男性です。それぞれの請ける仕事の毛色が違い、結果的に作風も語り手により少し異なるのですが、私はどちらの話もとても好きです。

ちなみに会では言う機会が無かったのですが、ビルはリディアに惚れています。しかしリディアはビルの事を信頼してはいるけど、その思いに応えようとはしません。くっつきそうでくっつかない二人の関係もシリーズの魅力です。

残念なことに、シリーズ過去作の多くが絶版になっています。
文庫の置いている図書館なら、蔵書がある可能性が高いです。このnoteの最後に、都道府県ごとの図書館の蔵書検索ができるページのリンクを貼っておきます。ひとまずここには、公式サイトのリンクを貼ります。

本編2 Q&A

では、Akikoさんが参加者から募られた質問に回答していきます!

・推し探偵との出会いは?
中学生の時、親が図書館から借りてきたのが出会いです。親より私がハマり、その後自分で借りて読んでいました。

・推し探偵の好きな所は?
リディア→無鉄砲でアクティブなところ
ビル→無骨で皮肉屋なのに本当は繊細なところ

・推し探偵に似合う(と思う)食べ物は何ですか?
リディア→大根餅
ビル→メーカーズ・マーク(ウイスキー)
こちらの質問、会の当日は「私ばっかり話しすぎかな…」と思って回答を控えてしまったのですが、質問者さんが当日参加されていたのでちゃんと答えれば良かった!と今は思っています。

リディア&ビルシリーズは美味しそうな食べ物のシーンが多いんですよ~。
リディアはチャイナタウンに住んでいて、周囲に美味しい中華料理屋さんがたくさんあるし、同居の母も料理上手。中でも屋台でテイクアウトしている「大根餅」は、初めて読んだ中学生当時全く知らない食べ物だったのでとても興味を抱きました。
また、舞台がニューヨークなこともあり、二人は様々な国の料理や軽食を食べています。どれも美味しそう・・・。
ビルはお酒とコーヒーと煙草が好きで、中でも自宅で飲んでいるメーカーズ・マークはいつか飲んでみたいなと思っています。私がアルコールを分解できない体質なので、買う勇気が出ない(笑)

・皆さん推し探偵のことは大好きだと思いますが、ファンから見てもここは欠点や短所だな、と思うところがあれば知りたいです。
リディア→スリルを求めるあまりに無鉄砲、ビルが惚れてるのを良い事にちょっと甘えてるかも?
ビル→気難しい、ベビースモーカーかつカフェイン中毒
今回の会をきっかけに読み直して気づきました。リディア、ビルが自分に惚れているのをいいことにちょっと甘えている時があるぞ?中学生時代は気づかなかった。まぁビルもそれをよしとしているようなので、外野がやいやい言う事じゃないか・・・。

・推し探偵の癖が強い、もしくはその方らしさを表すエピソードがあればお聞きしたいです。
リディア→中国系移民二世のため、家族との縁が強い。お母さんがクセ強で、口喧嘩でいつも負けている。
ビル→ピアノが趣味で玄人はだしの腕前だが、決して人に聴かせない。
リディアの母は相当クセ強です。私は大好きです。リディアが語りの回では、母の口達者ぶりもぜひお楽しみください。
ちなみにリディアの母はビルの事が大嫌いで、「白いマントヒヒ」と呼んでいます。ビルかわいそう。
ビルはピアノを弾くことを人生の中で最も大切にしているのですが、決して人には聴かせません。大好きなリディアに対しても。いろいろ抱えている厄介な男です。2巻目『ピアノ・ソナタ』ではそのあたりが丁寧に書かれていて、彼の人となりがよくわかります。

・「一番ダントツで好きなシーン」を聞きたいです!
4巻目『どこよりも冷たいところ』で、ビルがレンガ積みをするシーン。
もうこれは・・・読んで頂くしか・・・!!!
建築現場で起きた事件の調査のため、ビルがレンガ積み職人に扮して現場に潜り込むのですが、割とまじめにレンガも積みます。これ以上は・・・言えない・・・!!

・推し探偵の好きなセリフを教えてください。できれば、そのセリフに至る背景とかも伺えるとより参加者さんと推し探偵さんの人となりを知れてハッピーです!
実はこれ、パッと思いつかなかったんですよね。
最近読み直して「わー!」と思ったのは、3巻目『新生の街』でリディアがビルに対して言うセリフ。
「もう、スーパーマンって知ってるもの」
普段冗談交じりに口説き文句ばかりを言うビルに対してつれない返事をするリディアからの、ビルへのおそらく最大級の賛辞です。まぁこんな事言っても付き合わないんだけどね。リディアってば罪な女!

・シリーズ物の場合、「シリーズの中でもこの話(この回)が好き」や「このエピソードが好き」というのが聞きたいです。物語としてこの話(エピソード)が好き(→物語メイン)、推し探偵の描かれ方としてこの話(エピソード)が好き(→推しメイン)の2パターンあるかもしれませんが、どちらかなら推しメイン、時間があればどちらもお聞きしたいです😊/シリーズ物のイチオシエピソードが知りたいです!
推し探偵の描かれ方なら、
リディア→チャイナタウン
ビル→ピアノ・ソナタ
それぞれが語り手の初巻です。どちらも丁寧にキャラクターや背景が描かれているなと読み直して感じました。

物語として好きなら、
リディア→南の子供たち
ビル→どこよりも冷たいところ
リディアの方はアメリカ社会と中国からの移民、そしてリディア自身のルーツに関わる話です。ビルの方は上述のレンガ積み職人に扮する話、サブキャラクターも魅力的です。

・シリーズなら特にどの巻がお勧めですか?/初めて読む(見る)ならこの話から!というのがありますか?
基本的に一巻完結なのでどこからでも読めます。リディアの巻では家族の話やチャイナタウンの描写が魅力で、ビルの巻はアメリカ社会の闇を明らかにするようなハードボイルドな内容です。軽い読み心地をお求めなら第一巻でリディアが語り手の『チャイナタウン』がお勧めで、ハードボイルドがお好きならビルが語り手の初めての作品『ピアノ・ソナタ』がお勧め…ですがどちらも絶版で(;;)
最新刊『ファミリー・ビジネス』(リディアが語り手)は2024年12月に出たばかりで買いやすいし面白かったので、ここから読んでも大丈夫です。ただ、くっつきそうでくっつかない二人の関係を追いたい場合は昔の作品からが良いかも…!

・推し探偵は、どういった媒体で活躍が描かれていますか?(以下略)
小説のみです。映像化しないかなぁ…NYの街を走り回る二人が見たいな。

・実写化するなら誰が良いですか?
海外の役者さんが本当にわからないので、もし今後読まれてイメージできる方がいたら教えて欲しいです!ちなみにビルは事あるごとに「醜男」と言われているので、逆に映像化が難しいですね。ビルかわいそう。

・推しに関する思い出やエピソードはありますか?
もともと中学生の時に図書館で借りて読んでいたので手元に無かったのですが、社会人になって「これだけ好きなら集めよう」と思い、買い集めました。当時既に絶版の巻も多かったので、一時期はBOOKOFFに行くたびに海外ミステリの棚を目を皿のようにして探して、最終的にネット通販もしました。
自問自答ファッションに出会う前に、「自分のためにお金を使う」をやった数少ない経験です。

・Akikoさんの獅子雄リングのお話のように、推し探偵に影響を受けて、現実に行動したことがある場合は、そのエピソードを聴いてみたいです。
①ティムホーワンで大根餅を食べた
あきやの日記でおなじみの添好運(ティム・ホー・ワン)。

私もガールズさんと一緒に行きました!
そこであの「大根餅」があるのを見つけて!大好きな小説に出てくると説明して頼ませて貰いました!ちなみに写真はガールズさんとのお喋りが楽しすぎて撮り忘れました!
もちもちして出汁の味がしてとても美味しかったです。同行のガールズさんは「おでんの大根をお餅にしたみたい」と仰っていてなるほどと思いました。ずっと気になっていたので、食べられて嬉しかったです。

②小説内で書かれた場所をGoogle mapでピン留め中
シリーズを買い集めていた頃、リディアの住むアパートの場所として出てくる通りの名前を試しにGoogle mapで検索したら、なんとヒットして!実在の通りの名前だった!NYのチャイナタウンの写真が出てきて感動しました。
今読み直しながら、出てきた通りや場所の名前を延々ピン止めしています。一番よく出てくるキャナル・ストリートの場所を貼っておきますね。

・推し探偵さんに、「現実にはありえないだろ〜!」と思う特殊能力があれば、どんなものか教えてほしいです。
推し探偵である2人には特殊能力は無いのですが、リディアの母親は家族に対しての第六感的な何かしらを持ってそうです。

~ここから当日のご質問~
推し探偵になりたい?関係性が好き?相棒になりたい?
なりたくはないな、彼らの生活危なすぎるから!笑 二人の関係性は大好き。相棒になりたいとは思わないけど、二人の関係を見ていたい。なので「リディアの親戚のお姉さん」あたりのポジションに収まって、リディアを応援しつつビルの恋路もこっそり応援したい。

お気に入りの犯人役は?
特定のライバル役がいる話ではないので、これを言うとネタバレに!笑
ご質問からは逸れるのですが、最新より一つ前の巻の『その罪は描けない』(ビルが語り手)では、依頼者が「俺が犯人だと証明してくれ」と言ってきます。服役中に画才を見出された依頼者は、シャバに出てくるものの社会に馴染めず、刑務所に戻りたいんですね。で、「記憶はないけどあの殺人は俺がやったから証明してくれ」と言ってくるという話で、珍しい始まり方でとても面白かったです。

推し探偵が着ていそうなブランドは?
リディア→女性がデザイナーの、新しめのブランド
ビル→メイドインアメリカのスポーツ?ブランド
小説の中では、リディアの服の多くは縫い子をしていた母のお手製です。ビルはだいたいTシャツにジーンズにジャンパー。
そして恐らく2人とも、高級品を買う人の事を良く思っていません。今日の食事にも困る、貧困の中で暮らす人々のことを知っているからです。
・・・が、今回は世界が平和で、かつどの服も汚れたら洗える(笑)世界で彼らに着て欲しいものを考えてみました。

リディアは独立心が高く、女性らしさを押し付けられる事や男女の不平等に憤りを感じています。そんな彼女には、女性の自立を目指す新進気鋭の女性デザイナーの服を着て欲しいな。シャネルはコンセプトはばっちりだけどちょっと歴史が古すぎるかな。sacaiとかいかがでしょ?
ビルは着るものに頓着しなさそうだからなー。ヘインズのTシャツにリーバイスのジーンズとかでしょうか。
ちなみに第三巻『新生の街』では依頼者がまさに新進気鋭の女性デザイナーです。リディアの普段と違う一面を見られて面白かったです。

~質問されてないけど聴いて欲しいこと~
再開を待ち望んでいた
このシリーズ、一度中断しているんです。なんと8年も。
その間、再開を待ち望んで、でも日本語で検索しても全然情報が無くて、ついには作者の英語公式サイトに辿り着き、必死で情報を得ようとしていました。当時まだGoogle翻訳とかが無かったのかな、中学生程度の英語力でなんとか読解し、どうやら小説制作の教室をしているらしき事を知り(これも間違っているかもしれない)、「そんなことは誰かに任せて、シリーズ新作を・・・!」と思っていました。
そしてついにアメリカでシリーズ再開!でも日本で翻訳が出るかどうかわからない!東京創元社で出版の情報を見るまでの1年以上やきもきし、原著を買おうかとも考えたことがありました。なのであきやさんがミケーレの本を買われた気持ちはとてもよくわかりました。
今後も翻訳が続くという確約は無いので、私は毎度やきもきしています。

なぜこのシリーズが好きかわかった

今回の会をきっかけに第一巻から読み直して、「やっぱりこのシリーズが大好きだな」と実感しました。私がこのシリーズを好きなのは、一言で言うなら

「社会に対する目が鋭く、人に対する目が優しいから。」

どちらが語り手の回も、アメリカの現代社会の闇を描くものが多く、犯罪の内容は時としてヘビーです。作者は社会を描くことに関して容赦がありません。
ですが、人に対してはいつもどこかに優しさがあります。それは犯罪を犯した人に対しても同様で、罪は罪として描きながらもその背景を読者に伝えようとしているように感じます。
また、話の主軸は重くとも、その周囲に必ず希望となる何かを描いています。

「社会に対して鋭く、人に対しては優しく」これは私がありたいと思う姿です。きっと頭の中で明文化はされていなくても、10代の頃から触れていたこのシリーズから受け取っていたこともあるのだろうな、と今回初めて気づきました。
これは今後の自問自答ファッションのコンセプト活動にも繋がるかもしれません。

おわりに~ありがとうございました~

今回の会をきっかけに、多くの気づきがありました。そして何より、当日が楽しかった!Akikoさん、このような機会を設けて頂き本当にありがとうございました。

事前と当日に質問を送られた方々にもお礼申し上げます。「シリーズは好きだけどそこまで語れることあるかなもじもじ」としていたのが、答えを考えるうちに「いや私めっちゃ好きやん」と自信を持てるようになりました。答えを考える時間も楽しかったなぁ。

当日のコメントも楽しかったです。私はiPadを使っていたせいか保存ができなかったのですが、自分に関することで可能なものはスマホで写真を撮りました(笑)

以上、書き始めたらなかなかの文字数になってしまいました。お読みいただきありがとうございました!
もし気になった方は、シリーズ前半は図書館で探してみてください。ここから都道府県ごとの蔵書検索ができるようです。

シリーズ再開後(南の子供たち以降)は電子書籍もありますし、取り寄せも可能です。前半に貼ったリンクと同じですが、公式サイトのリンクをもう一度貼っておきます。

おまけ

①再読が楽しい
昨年度から、自分が好きだった作品の再読をしています。自分の好きが明らかになって面白いし、当時は気づけなかった事に気づくという楽しみもありました。今年も引き続きやっていこう。

②カバーイラストに反応してくれた方がいた!
どの参加者さんだったか失念してしまったのですが、「リディア&ビルシリーズのカバーを描いているイラストレーターが好き」という方がいらっしゃいました。違う意味合いだったらごめんなさい。でもわかります!!
私は同じイラストレーターで同じ創元推理文庫から出た、ドン・ウィンズロウのニール・ケアリーシリーズも今集めようとしています(絶版)。後半の巻が…なかなか見つからない…!
「朝倉めぐみさんがカバーを描く作品、好きかも」と思っていたのでとっても嬉しかったです♪