『久保建英』のフィジカル・動作分析
フィジカル分析官/パーソナルトレーナーの栗原です。今回のテーマは久保建英のフィジカル分析、動作分析について解説させていただきます。
久保建英の過去に遡りながら身体がどのように変化したのかを解説し、またどのような方法で今の久保建英が出来上がったのか考察を交えながらこちらの記事でお伝えさせていただきます。
【YOUTUBE引用】
久保建英
2001年6月1日
神奈川県川崎市出身
身長173㌢
体重67㌔
【小学校3年生の時に川崎フロンターレの下部組織に入団。川崎フロンターレアカデミーから2011年8月にFCバルセロナのカンテラの入団テストを受け合格。日本人初となる快挙を成し遂げた。】
【YOUTUBE引用】
ラ・リーガーで最早知らない人が居ないくらいに世界中で名を轟かせている久保建英です。4試合連続のMOMを取り、辛口で有名な現地の評価では常に高い評価を獲得しています。そんな彼は当たり前ではありますが2025年1月に入ると移籍の話しが常に付いてまとっています。
近年久保建英の成長は著しくレアル・ソシエダ(2025年1月)の顔になるほどの人物です。何故久保建英はここまで成長できたのかをフィジカル面と動作面の観点からお話します。
初動動作
久保建英の動作分析をするにあたり過去と現在を見比べて一番大きく変化した箇所は初動の速さだと思っています。以前に比べドリブル時相手を抜き去る際の一瞬の動き出しの速さが各段に上がっています。
これはフィジカルトレーニングの賜物だと私は勝手に推測しています。
先ずは下記動画をご確認ください。5分~10分まで確認していただけたらと思います。
【YOUTUBE引用】
相手を抜き去る際の身体の使い方は類まれなる能力を持っています。
上記動画を確認した上で下記動画を確認してください。
45秒~2分30秒までを確認してください。
【YOUTUBE引用】
各段に初動動作の速さが上がっております。他の言い方で表すと身体のキレが圧倒的に今の方が上がっています。
ここではこの身体のキレについて解説させていただきます。
上半身と下半身の運動連鎖
久保建英の大きく変わったポイントの一つが下半身の力をメインで使えることになったことです。
これはどういう事かというと過去の久保建英の動きを見ると上半身の力を頼った運動をしていました。
下記動画をご確認ください。ドリブル時には大きく上半身を動かしており、頭も同様に大きく動いております。また腕は脱力できず肩関節がロックした状態でドリブルしているように覗えます。下記動画を確認して分かることは上半身の力の導入が大きい事が分かります。言わば力んでいる状態ともいえます。
【YOUTUBE引用】
では、下記動画20秒~からご確認してください。
上記動画に比べて身体が軽く見えます。上半身は過去の動画に比べ脱力が上手くでき下半身をメインにした運動を行えております。
力の伝え方が過去の動画に比べ変化しています。
少し話は反れますがフィジカルトレーニングに置いて上半身の力を余計に使ってトレーニングをする方が多くいます。
例えばスクワットです。
スクワットは下半身の運動にも関わらず上半身の力を最大限に使う方がいます。これはバーベルスクワットのようなウエイトを好んで行う方に多いです。
ベルトを巻いてしまい、本来の体幹が入らず、腰を落とす際前に一瞬の初動で顎や首が動いてしまい、そして骨盤を前傾位にさせスクワットしてしまうパターンです。
これはパフォーマンスダウンのスクワットであり出力ダウンさせてしまいます。ですが久保建英の動きを確認するにそのようなトレーニングを行っていないと思えます。以前に比べパフォーマンスが上がるトレーニングが出来ていると覗えます。
何故なら過去の動画に比べ下記のポイントが変わったからです。
ここでポイントです。
・頭の動きが小さい
・腹横筋の動きが以前に比べ出ている
・胸郭が上がっている
頭の動きが小さい
下記動画の0秒から1分45秒までを確認してください。特に確認してほしい箇所は頭の動きです。
相手自陣に切り込んでドリブルを仕掛ける際極端に頭の動きが小さいです。
上記の過去動画では頭だけではなく上半身の動きが大きく動いておりました。ですが下記の動画では頭の動きは少なくっています。
【YOUTUBE引用】
フィジカルトレーニングでも頭の動き、また上半身の脱力を気にしているのかもしれないです。
下記動画の25秒から47秒をご確認してください。
【YOUTUBE引用】
中心軸に意識させながら頭の位置を固定できています。
また意識的なのか分かりませんが必要以上にベロを動かしているので身体を固め過ぎない事を意識して行っているのではないかと考察できます。
その為ロープトレーニングでは体幹を柔軟的に扱う事ができ自然と頭がブレない状態を自ら持っていけています。
世界のトップアスリートの条件の一つが頭の位置を上手く固定できていることです。
これはトレーニング時から意識できているかが大きなポイントになります。頭が上手く固定出来ているとあくまでも結果です。肋骨の動きを固め過ぎず上手く運動連鎖を行えると”自然”と体幹が活動し”自然”と頭の位置がブレにくくなります。あくまで”自然”がポイントです。
これはどういう事かといいいますと下記動画を確認してください。
NFL選手のタイリークヒルです。下記動画50秒~最後まで確認してください。特に確認してほしい箇所は頭の位置です。これが世界トップアスリートのトレーニング風景です。
【YOUTUBE引用】
いかがでしたか。
上半身に力の導入が大きかったらここまで早く身体を動かす事はできません。早いスピードを出すには脱力が必須です。全て力が入ってしまってはガチガチになり動きが遅くなります。
タイリークヒルは生まれ持った骨格と筋肉のポテンシャルは確かにあります。ですが日本人でもポテンシャルを引き上げる事は可能です。
トレーニング時から上半身の力がどのように入っているのか確認し、下半身の出力をしっかりと上げることを念頭に置きながらトレーニングを行う必要があります。また不用意にウエイトを持つ事をゴールにしてはいけません。ウエイトはあくまで補助です。今の負荷で足りない場合に負荷を上げる。
この考えをベースにおもきを置く必要があります。
きっと久保建英の動きを考えるとこの考えが念頭にあるかと思われます。
腹横筋の動きが以前比べ出ている
久保建英の腹部の動きが大きく出ていることが確認できます。これは上記で記載したアジェンダと繋がります。
腹部の動きが出ているということはインナーユニット(腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋)の使い方が上手くなっている証拠です。
インナーユニットが活動していることによって頭の位置が安定し重心点を上手く取れるようになります。その影響によって初動の速さが生まれています。
固める運動だけはなく、一般的に地味な運動と言われるトレーニングもしっかりと行っていると思われます。
先ずは過去動画の47秒~最後まで確認してください。確認してほしい箇所は腹部の動きと初動の速さです。また見れる方は腕と肩関節周辺の力みです。
【YOUTUBE引用】
続きまして下記動画最初から最後まで確認してください。
確認してほしい箇所は同じく腹部の動き、初動の動き。そして腕と肩関節周辺の力みです。
【YOUTUBE引用】
2019年に時に比べ大きく変化しております。
下半身の安定感を確認するに腹横筋が上手く使われていると推測できます。よく体幹トレーニングでプランクをされる方がいます。ですがサッカー選手にとって動かしながらどのように体幹を入れるかがポイントです。
そこを理解して久保建英はトレーニングをしていると思われます。
胸郭が上がっている
久保建英の動作分析をしてもう一つ分かった事は胸郭が以前に比べ上がっている点です。
これはあくまでも仮説ではありますが以前は胸郭周りが固かったもしれないです。所謂胸の周りの筋肉です。
ここが固いだけで初動が遅くなります。特にここ最近では腕の振りが大きくなっています。以前に比べて腕を振れています。広背筋の活動量も増えたと推測できます。その為臀筋の出力も上げられているはずです。
(※実際胸郭の固さをどのように抜いたのかは分かりません。)
胸椎をしっかりと伸展させて軽い重さでラットプルダウンや軽いゴムチューブで広背筋の運動を行うだけでもある程度胸郭の動きが出ます。そして胸郭が固かった方が胸郭の動きが出ると、数十メートルダッシュするだけで足の回転率が上がる感覚を覚えます。実際に加速力は高まりやすくなります。
これは簡単に言ってしまえば大腰筋が活動しやすい状態になったからと言えます。ウエイトを好んで行う方は胸郭が固い傾向にあるので胸郭の動きを出すことはパフォーマンスを上げる事を考えればとても必要な運動になります。
下記動画5分10秒~5分25秒まで確認してください。確認して欲しい箇所は胸の動きと高さです。
【YOUTUBE引用】
次に下記動画を確認してください。
5分43秒から最後まで確認してください。
【YOUTUBE引用】
少し分かりづらかったかもしれないですが腹部の中央から脚が生えたように走っていると覗えます。映像から見るに大腰筋の活動が以前に比べ大きいと確認できました。その為加速が出るようになったと考察できます。
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今回動作分析、フィジカル分析するにあたり改めて脱力とインナーユニットが重要である感じさせられました。
そして久保建英は凄まじい努力をしてきたのだと思います。地道に努力を怠らず培ってきたの今の成果だと感じさせられました。
近年の映像を見ると重心点はズレずにドリブルを行っていると覗えます。下記YOUTUBEショートURLを貼っておきます。
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重心点は常に中央にあります。そして顎です。顎は上に引き上がっていません。また首から身体を動かそうともしていません。
力が入りやすい状態になると上半身の力を引き出そうと顎や引きあがり首が前に出やすくなってしまいます。ですが久保建英そのような事はありません。
しっかりと下半身の運動とインナーユニットを上手く使ってドリブルを行っています。これが少しでも顎と首が初動で動いてしまうと身体全体の動き出しが遅れてします。そして体幹の出力度も変わります。
久保建英は日頃のトレーニングから丁寧にフィジカルトレーニングを行っているだろうと考察ができます。
フィジカル面の強度は中学時代から垣間見られます。
下記動画は中学校時代の映像です。久保建英は当時中学3年生に対して相手はほぼ18歳です。
中学3年生と高校3年生は体格的に大きな違いがあるにも関わらず久保建英はフィジカル面で全く負けていません。
【YOUTUBE引用】
この頃からフィジカルの大切さを理解していたのでしょう。
これから移籍の話題も増えてビッククラブに移籍すると想像できます。もしかしたらバロンドールを獲る可能性もあります。
今後の日本を背負ってぜひワールドカップ優勝してほしいと心の底から願っております。
これからも遠い日本から応援させていただきます。
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