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2023/12/22 今日の書き散らし(フリーレン)

 最近、アニメ「葬送のフリーレン」を細々と追っている。
 私は絵画教室に通っていて、先生が作画を絶賛していたので、なんとなく見てみる気になったのだった。

あらすじ

 十年にも及ぶ冒険の末、勇者ヒンメル一行が魔王を倒したところから物語は始まる。勇者たちは役目を果たし、それぞれの人生に戻っていく。
 主人公はエルフの魔法使い・フリーレン。エルフは数千年も生きる種族で、十年の冒険は彼女にとってほんの短い間に過ぎなかった。
 それから何十年もの歳月が流れ、かつての英雄・ヒンメルは老いこの世を去ることになる。涙を見せないフリーレンに、町の人は「悲しい顔ひとつしないなんて。薄情だねぇ」とささやいた。
 ヒンメルの棺が埋められていき、別れの時を迎える。フリーレンはつぶやく。
 「だって私……この人のこと何も知らないし。たった十年……一緒に旅しただけだし。人間の寿命は短いって、わかっていたのに。なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう……」
 葬式を終え、フリーレンは旅に出る決意をする。人間を知るための旅だ。

 相手のことを何も知らないということに気付くのは、得てして相手がいなくなった後だ。
 その人が生きているときは、その人のことをよく知らなかったとしても、この先いつでも知ることができると思っているから、知らないということが気にならない。
 つまり、「今以上にはその人のことを知ることができない」という状況になって初めて、私たちは「その人のことを何も知らなかった」ということに気づくのだ。

 家族や友人など、近しい人を亡くした経験がある人なら共感できる感情ではないだろうか。
 私たちは親がいつか死んでしまうことを知っていながら、別れの時はまだまだ先だとどこかで考えており、今このとき、意識して親のことをよく知ろうとは思わない。そうして彼らが亡くなった後に何も知らないことを悔いるのだ。
 それでも、人生が続けばなんらかの形で彼らの足跡を辿ることになる。彼らもこんな気持ちになったのだろうかと想像する。あのときの彼らに思いを馳せる。

 葬送のフリーレンは「残された者の物語」で、それは私たちの物語でもある。
 これからフリーレンがどんな旅路を辿り何を感じるのか見守りたいと思う。

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