『ユニクロ』読んで
ブラリと書店を歩いていたら、目に入ったのが『ユニクロ』と題する本。
私は「持っている服の7割がユニクロ」という、大のユニクロファンだ。
質が良いのに安い。
ユニクロは衣服を通じて社会貢献さえしている、と思っている。
ただ会社については、あまり知らない。
ここまで私を魅了するとは、どんな会社なのか?
丁度良い機会なので、読んでみることに。
この本は、ユニクロがどのように誕生して、成長していったのか。
どんな失敗と苦労があったのか?
どうやって乗りこえてきたのか?
著者が大勢の人々を取材して、その取材をもとに描かれている。
ゆえに柳井会長だけでなく、
ユニクロを支えた名脇役が多く登場する。それが面白い。
登場する人物たちの仕事のやり方、考え方、信念は、
勉強になるし、勇気をもらえるものだ。
特に印象に残っているのは、「ユニクロは失敗が多い」ということ。
失敗について、柳井さんはこう述べている。
肝心なのは「行うこと」である。新しいことをやると失敗するもの。
でも失敗することが問題じゃない。
大切なのは、失敗から何を得るか。失敗の原因を考えて、
次に失敗しないために何をすればいいか考えるのが経営者。
だから失敗しないと始まらない。
まずは失敗しないように、とことん考えぬけ。
そこまで考えて最善をつくしたつもりでも、失敗は避けられない。
ならば、失敗から何かを学び、より大きく成長するためには
つまずいてもまた這い上がってやろうという
「覚悟」が最初からなければ始まらない。
ユニクロも、実は失敗続きだったというのがとても親近感が湧いた。
柳井さんは、「失敗して恐れることよりも、何もしないことを恐れろ」と
説いた本田宗一郎さんのことをリスペクトしていたらしい。
二人が言うこと、本当にそうだよなと思う。
自分は、なかなかのチキンなので、
こういう言葉を改めて聞くと勇気を貰えるものだ。
もう一つ、印象に残ったことがある。
柳井さんは「ユニクロとは何か?ユニクロらしさとは?」を、
ずっと問い続けていたということ。
国内外で競合ひしめくアパレル業界では
「会社のアイデンティティ」をはっきりと打ち出し、
消費者にアピールしないと、戦っていけないのだという。
もはや柳井さん一人では考えつかない。そこで、強力な助っ人が登場した。
超売れっ子クリエイター、佐藤可士和さんだ。
ユニクロの服とは何か?
ついに完成したのが、ユニクロの「6つの定義」だ。
服装における完成された「部品」である
人それぞれにとってのライフスタイルをつくるための「道具」である
つくり手でなく、着る人の価値観からつくられた服である
服そのものに進化をもたらす未来の服である
美意識のある超・合理性でできた服である
世界中のあらゆる人のための服、という意味で究極の服である
確かに、自分の持っているユニクロの服をみてみると、
「着る人」や「個々のライフスタイルや価値観」が反映できるように
つくられているなと思う。
私がユニクロの服を良いなと思う理由は、
色も形もシンプルで着やすいからだ。
流行に左右されない。自分に似合うデザインをずっと着ていきたい。
それは、自分らしさにつながると思う。
こうしたコンセプトが海外の人々に受け入れられたユニクロ。
海外事業が好調で、
今年8月の通期決算、売上高が初の3兆円突破したという。
今後も目が離せない。