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大学に入学して間もない頃から君のことは気になっていた。美しい黒髪と、大きな目が特徴的なその清楚な容姿に僕は無意識的に惹かれていた。いくつかの語学の講義と、数学の講義が同じで、君の姿はよく目に留まった。授業前には、君はいつも一人で静かに教科書か何かを読んでいた。自分にとって真に価値あるものを追求しているようにも見えた。授業終わりには頻繁に教授のもとへ質問に行っていたのが印象的だった。知的探究心の旺盛さが垣間見えて、きっと聡明な女性なんだろうと密かに尊敬していた。僕が君について知っている情報は、名前とその勉学への熱心さだけだった。君がふだん友達とどんな話をするのか、何を考えて生きているのか、今までの人生をどんなふうに過ごしてきたか、知りたくて仕方なかった。君に対して湧き上がるこの感情は、憧憬なのか恋愛感情なのか、はたまたその両方なのか、僕には分からなかった。いつか勇気を出して話しかけたいと思ってこそいたが、臆病な僕が一歩前に踏み出すことはなかった。結局一言も交えることなく、1年が過ぎた。

きっと奇跡だったんだと思う。2回生の春、気まぐれか何かで取った量子論のゼミに君はいた。君が教室に入ってきた時、少々僕は驚いた。まさか君が来るとは思ってもいなかったからだ。それに、それまで分けていた前髪を均等に下ろしてよりかわいらしくなっていたというのも理由の一つだ。ガイダンス授業が終わり、生徒が散り散りに教室を立ち去った後、何の作用か僕は君に近寄り、話しかけていた。話しかけようという明確な決意を持っていたわけではなかった。もし我々の行動がすべて偶然と必然に帰結するならば、きっとたまたま僕の頭の中の量子サイコロが全部1の目になって、結果僕は君に話しかけたのだと思う。

君は他人への興味がかなり薄い子だったから、次の週の授業終わりに君が僕に話しかけたのも、きっと君の頭の中の量子サイコロが奇跡的な目を出したからなんだと思う。そう考えると世界はなんて美しいんだろうと感無量になる。そうした偶然の重なりから、僕と君は徐々に親しくなっていく。僕は君をさらに意識するようになる。君ともっと話したい。君をもっと知りたい。君は僕のことをどう思っているんだろうか。次君とお話しできる(かもしれない)のはちょうど記念すべき20歳の誕生日の時だ。できれば一緒にそばにいて祝ってほしいと願う。君がいればこの退屈で孤独な世界も輝いて見えるから。

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