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インドネシア語学習とインドネシア語検定のススメ

1 はじめに

私はインドネシアに数年住んでいたこともあり、生活のため必要ということでインドネシア語を習っていたのですが、せっかく習っているのだから、何か資格という目に見える形でその成果を残そうと思い、昨年からインドネシア語検定を受けています。

これまでD級とC級に合格しましたが、今回、7月にインドネシア語検定B級を初めて受験し、何とか一次試験を突破することができました。
現在、二次試験の面接に向けて準備をしているところです。

各級合格までの勉強法などについては、別の機会に詳しく書きたいと思いますが、本記事では、インドネシア語学習のメリットとインドネシア語検定の概要について書きたいと思います。

本記事は以下のような方向けに書いております。本記事がみなさまのお役に立てれば嬉しいです。

  • インドネシア語に興味がある方

  • 最近インドネシア語を習い始めた方

  • インドネシア語検定の受験を考えている方

  • 何か(第二)外国語を習ってみたいと思っている方

2 インドネシア語学習のメリット

1 話者人口の多さ

インドネシアの人口は約2億8000万人に達しており、インド・中国・米国に続き世界で4番目に人口が多い国となっています。今後も人口は増加すると見込まれ、3億人を超える日もそう遠くはありません。

これは、インドネシア語を身に付ければ、約3億人のインドネシア語話者とのコミュニケーションが可能になることを意味します。

更に、ルーツが同じで、単語の約90%は同じと言われているマレー語との互換性もあるため、インドネシア語を学習すれば、マレー語が使われているマレーシア・ブルネイ・シンガポールでもコミュニケーションを図ることができ、その話者人口の合計は3億5000万人近くになります。

実際に、私がマレーシアやシンガポールに行った際も、インドネシア語でも十分通じましたし、相手が言っている内容もある程度は理解することができました。街中にある案内表示も理解できますし、地名の意味もわかったりします。

例えば、マレーシアの首都クアラルンプールの繁華街で「ブキッ・ビンタン(Bukit Bintang)という場所がありますが、これはマレー語でもインドネシア語でも「星の丘」という意味になります。日本でいうと「星ケ丘」ですね。

かつて韓国の文在寅前大統領は、マレーシア訪問時、記者会見でマレー語の夕方の挨拶である「スラマッ・プタン(Selamat petang)」と言うべきところ、インドネシア語である「スラマッ・ソレ(Selamat sore)」と言ってしまい、韓国のマスコミから批判されてしまったということがありました。

さすがにフォーマルな外交の場では正確な表現が求められますが、日常会話であれば多少単語が違っていても大きな問題になることはありません(インドネシアでも、夕方を表す「プタン」は普通に使われますので、意味は通じます。)。

2 敷居の低さ 

語学を一から始めるのは結構負担が大きいものです。特に日本では英語以外の第二外国語を小中高で導入している学校は少ないので、大学生や社会人になってから文字どおり一から学習を始めることになりますが、忙しい中で英語に加えて第二外国語を学ぶのは大変です。

その点、インドネシア語はすべてアルファベット表記で、発音もほとんどはローマ字読みです。四声や六声など、アジアの言語に多い複雑な声調もありません。文法もシンプルです。単語も元となる語幹に接頭辞・接尾辞を付けて品詞や意味を変える構造になっており、英語からの借用語も多いので、覚えやすいです。

もちろん突き詰めようとすればいくらでも学ぶべきところはありますが、これから第二外国語を始めようとする方にとっては非常にとっつきやすく、敷居は低いといえます。初期の段階では学習でつまづくことも少なく、比較的早く実力が伸びますので、挫折せずに続けることができます。

3 日本とインドネシアの友好関係の高さ

最近は中国や韓国などの影響も強いインドネシアですが、今でも日本に対しては親しみやすさを感じてくれており、日本人を見かけると話しかけてくる人も少なくありません。最近の円安傾向も手伝って、日本に旅行に生きたいというインドネシア人も多いです。

日本企業に対しても一種のブランドを感じてくれているようで、インドネシアのライドシェアアプリ「ゴジェック(Gojek)」で車を手配すると、日本の自動車メーカーであることが多いですし、ジャカルタの街中を走るバイクはほとんどが日本のメーカーです。アニメや漫画などのカルチャーも人気で、インドネシアで使われている日本の製品やサービスを挙げればきりがありません。

一方、インドネシアに魅力を感じている日本人も少なくなく、バリ島はアジア屈指のリゾート地として観光で訪れる人や移住する人も多くいますし、その他にも多くの観光名所があります。

今後も日本とインドネシアの友好関係は続くことが予想され、人や企業の交流・協力は益々活発になっていくことが予想されます。その一方で、インドネシア語を学習する日本人はそれほど多くありません。インドネシア語をやっておくと日常生活でもビジネスでも旅行でも得、という機会も増えてくるかもしれません。

3 インドネシア語検定とは?

1 試験の概要

インドネシア語検定(通称「インケン」)の正式名称は「インドネシア語技能検定試験」といい、日本インドネシア語検定協会によって運営されています。ランクは最上級の特A級からE級までの6段階で設定されています。

試験は毎年1月と7月の年2回(特A級のみ年1回)行われ、特A級からB級までは一次試験と二次試験に分かれています。

一次試験は読解、語彙、文法、作文と聴解、つまりリーディング、リスニング、ライティングの能力を、二次試験は面接、つまりスピーキング(とリスニング)能力を測定します。一方、C級からE級については二次試験、つまり面接試験がなく、1日で完結します。

一次試験はどの級も同じ日に同じ会場(日本でもインドネシアでもどちらでも受験できます。)で行われます。ただ、試験時間がずらされており、となり合う2つの級を併願することも可能になっています。私がC級を受けたときはD級も併願受験しました。

C級とD級とE級については、それぞれ試験時間が異なるため、3つの級を併願することが可能ですが、C級を受けられる実力があるのであれば、敢えて追加の受験料を払ってE級を受けるメリットはあまりないかもしれません。

2 各級のレベル

日本インドネシア語検定協会の公式HPによると、各級のレベルは以下のとおりとなっています。

特A級:インドネシア語の通訳、翻訳者のプロとして通用するレベル
A級:一般の新聞記事、文献を読んで翻訳でき、業務文書を書いたり、            
   一応の会議通訳ができる
B級:平易な新聞記事、文献を読んで翻訳でき、平易な業務文書を書いた
   り、簡単な通訳ができる
C級:商品の取扱説明書、広告などを読み、日常生活について手紙を書いた
   り、一般的な日常会話ができる
D級:案内板、チケットなどを読み、買い物、道案内、伝言などの簡単な日
   常会話ができる
E級:看板や平易な手紙などを読み、挨拶、自己紹介、意思表示などの初歩
   的な日常会話ができる

インドネシア語技能検定試験公式HP(https://www.i-kentei.com/kentei/penilaian/index.html)「評価基準と審査内容」より

難易度ですが、特A級は合格者0人の回もざらにある非常に狭き門で(受験者が1桁とそもそも少ないのですが)、A級も最近は40人前後が受験して1人から2人しか受からないという、まだ3%程度はあった旧司法試験以上に合格率の低い試験となっています。

それでは特A級、A級がないと通訳の仕事はできないのかというと必ずしもそうではなく、それらの級に合格していなくても通訳や翻訳の仕事をされている方はいらっしゃいますし、ビジネスで何の支障もなくインドネシア語を使っている方も数多くいます。

そのため、一流・超一流の通訳者を目指しているのでなければ、ビジネスレベルであればB級、日常会話レベルであればC級を一応のゴールとして目指し、更に忍耐力とやる気のある方はA級や特A級にチャレンジするというのが現実的なところだと思います。

3 これから受験を考える方へのおすすめプラン

私が実際に受けた感覚だと、インドネシアで生活する、または日本でインドネシア出身の人と会話をするのであれば、D級で十分だと思います。

D級とC級の間はかなり難易度の差があり、C級があれば表現の幅は広がると思いますが、D級でもドライバーやお手伝いさんとの意思疎通、飲食店での食事や買い物などは特に問題なくできますし、メッセンジャーアプリ(インドネシアではLINEはほぼ使われておらず、主要アプリはWhatsAppかInstagramのDMなどです。)でのメッセージのやり取りもできるくらいの実力は備わっていると思います。

一方、E級だけでは日常生活を送ることは不十分です。出張や観光などでインドネシアに一時的に滞在し、基本は英語でコミュニケーションをするという方はE級でも十分ですが、駐在やその帯同など、一定期間インドネシアに居住してローカルのインドネシア人とインドネシア語でコミュニケーションをする必要に迫られている方は、D級レベルを目指した方がよいでしょう。D級レベルは早ければ3か月~半年くらいで達成することができると思います。

私はC級とD級を併願しましたが、C級合格にはそれなりの勉強時間が必要になりますので、インドネシアでの生活や就職を考えている方は、まずD級を受けてみて、基本が身についていることを確認してから、次のステップとしてC級、そしてビジネスでもインドネシア語を使いたい、という方はB級にチャレンジするというのがおすすめです。

4 まとめ

このように、インドネシア語を学習することは様々なメリットがあります。そのインドネシア語の日本唯一の試験がインドネシア語検定で、現在のレベルの確認や学習のモチベーションの維持・向上に役立ちます。私自身もその目的で受験を続けています。

そのほかにも、公式HPには、インドネシア語検定のメリットとして、大学の単位認定、就職試験での優遇、職場での昇進・昇給、翻訳・通訳者としての独立など、資格としての利点も挙げられています。

もしインドネシア語に興味を持たれた方、最近インドネシア語を始めた方がいらっしゃいましたら、このような検定試験を活用しつつ、学習を始めて(続けて)みてはいかがでしょうか。きっと楽しい世界が待っていますよ!




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