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嬢をめぐる冒険(N#7)

 シャワーを浴びる時間を告げるタイマーが鳴った。シャワーを浴びている間も自然な会話は続いていた。シャワーから出ると会計をしていないことに気づいた。

 「お会計もらうの忘れてた」
 「着替えたらお会計しなきゃね」

 その日は僕はスーツを着ていた。仕事でスーツである必要がないのだが、ある特定のイベントに行くときはスーツを着る。安いがスーツもシャツもオーダーメイドである。

 普通に売っているスーツと違うことは見てわかったようだった。黒いスーツだが、会社勤めの人が仕事着として着るスーツには見えない作りだった。

 「お金かけなくても作れるんだよ。吊るしのスーツ買うよりはるかに安いんだよ。身体にぴったりに作れるしね」
 「すごくお洒落でかっこいいですよ」

 そこから話は広がっていったので、ある映画を見てもらえばこのスーツの意味がわかると思うとタイトルを伝えた。

 「調べてみます!」

 部屋を出る前のほんの少しの時間の会話だったが、今までで一番、普通の女の子に見えた瞬間だった。


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