嬢をめぐる冒険(N#3)
入ったのは派遣型風俗店向きの非常にコンパクトなホテルだった。
急に決めて移動を開始したので、彼女には会いに行くことを知らせることができなかった。
すぐに派遣できるとのことだったので、ホテルでの待ち時間もほとんどなかったはずだ、でも待っている時間はすごく長く感じた。
最後に会ったのは僕の地元に20日間出稼ぎに来ていた最終日のラスト枠だった。歯をみがきながらその日のことを思い出していた。
出稼ぎ風俗嬢はクラスに急に転校してきて、またすぐに転校でいなくなってしまった同級生みたいなものかもしれない。強烈な印象を残しても、その後に再び会うことや連絡を取る手立てを得られない存在であることが普通ではないだろうか。でもクラスの限られた人間が行方を知っていたりする。そんな存在の気がするのだ。
連絡先を交換したわけではないが、僕は行方を捜すことを許されたのだろう。そんなことを考えていた。
やがてドアをノックする音が聞こえた。