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嬢をめぐる冒険(N#1)

 僕は東京で彼女が働いているお店に会いに行った。

出稼ぎに来ていた時に「次にここに来るかはわからない。東京でも同じ源氏名で勤めているからサイトで探してみてください」そう言い残していたのだった。

調べるとすぐに見つけることができた。会いに行くには少し物理的な距離があったが、無謀な距離ではなかった。某大型風俗店案内サイトの東京のお店の彼女のアカウントをフォローした。そうするとメッセージがちゃんと返ってきた。僕だということがすぐわかったようだった。短いメッセージには「待ってます」とあった。

営業トークだろうと思っていたし、東京に出向く時にタイミングが合うようなら会いに行ってみよう。その程度に考えていた。彼女もほんとうに来るとは思っていないだろう。

僕が色恋営業を仕掛けられているようにも見えるかもしれない。そこには明確にお金が介在しているのだから営業という側面が必ず存在する。僕はそうじゃなければいけないと思っている。

無償、無料、タダほど恐ろしいものはない。お金が介在する関係性はお互いの利害が一致しているのであればそれはとても良好なものではないだろうか。

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