嬢をめぐる冒険(N#6)
これは憶測でしかないのだが、濃厚なプレイをする嬢の中には客との会話をあまり望んでいないのかもしれないと思う時がある。
会話をするよりも客の男性自身をしごいている方が楽なのかもしれない。そんな嬢と時間を過ごしたこともあった。
僕は職業不詳、年齢不詳、既婚か未婚かもわかりにくいらしい。あまりガツガツしているようにも見られない。会話の流れで素性を明かすと絶句されることもしばしばある。様々な意味合いで偏りのない人間に見られることも多かった。
それが彼女の興味を引いたのかもしれないし、出稼ぎという境遇の中でちょっと気が合いそうな人の気がしただけなのかもしれない。僕との会話は楽しんでくれているように見えた。
初めて会った日の事後の会話で印象的だったのは、ある宗教団体のことにまつわる経験談を彼女が口にしたのだ。内容は頷ける話だった。相槌を打ちながらも驚きを隠せなかった。
「宗教ネタって...俺なら話して大丈夫って思ったの?」
「普通なら絶対に話しません。でも大丈夫な人って感じたんです」
やはりその時のことは彼女にも印象に残っていたようだった。「普通はしない宗教ネタを話しちゃった人ですから」笑いながら、初めて会った日のこと、僕の印象を話してくれた。
お互い裸のまま、ベットの上であぐらをかいてこんな会話を楽しんでいた。このお店の過激なプレイ内容についても詳細を話してくれた。仕事の話をする彼女は楽しそうだった。
これが自然な関係であることを願わずにはいられなかった。
彼女に闇がないように見えるかと聞かれれば、完全に否定することはできない。でも初めて会った時から仕事のプロフェッショナルであり、実際にとても賢い女性である。それなのに随分不用心だなと思う会話は度々あった。でもそれは仕事をする上で僕を自然に過ごせる相手と認めてもらえた証なのかもしれない。