シェア
みさとかりん
2024年5月31日 21:38
第一部 五王君 三章 風の峡谷 3鋭い冷気を孕んだ風をその身に纏わり付かせながら、風刃君サラウィーンは居城をやや離れた峡谷沿いの中空にひらりと舞い立ち、久々の強魔人との手合せに胸を高鳴らせていた。敵は、己れの強烈な存在感を隠すことなく、彼女を待ち構えていた。彼の意識の網がこの自分という憎き獲物を、どうあっても取り逃さぬように張り巡らされている。それにしても、