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みさとかりん
2024年2月24日 22:40
第一部 五王君 三章 風の峡谷 1コルフィンは、急いでいた。城内での瞬間転移はなるべくするなという主人の言いつけを守り、亜麻色の石の壁とコルク板を敷き詰め、その上に葡萄茶色の長い絨毯を張った長い廊下を足早に進んでいく。「我が君、どちらへ!」ぜいぜいと口から呼気を吐きながら、彼は後ろ姿の主人を呼び止める。矢羽と弓を背負い、腰に剣を差し、土色のマントを付けた旅人の