シェア
みさとかりん
2023年7月26日 21:08
序章 白い梟 1夜が明けて、地平より闇を打ち消す光の一矢が放たれ、無数の葉群れが盛大に輝き出した。『魔神の大樹』は、この森で一番早く目覚める者だ。その巨大な樹の根元へと、今朝も兄は小走りに向っていく。枝から枝へと飛び回る赤や青、黄や桃色の色とりどりの小鳥たちがちゅんちゅんと口々に囀り、早い朝を知らせる。兄は毎朝食事ができるまでの間、それを眺めるのを日課にしているのだ