昭和おじいちゃん ⑧
ホスピスでは
季節ごとの行事を
大切に行なっている
行事の朝は
その行事のために
お部屋にスタッフが回ってきても良いか
患者さんに確認する
多くの患者さんは
OKしてくださる
が
昭和おじいちゃんは
なかなか手強い
昭和おじいちゃん「その行事なんで始まったか知ってる?
僕には必要ないね。他所でやって。うるさくしないで。」
その日のスタッフ
だいたい凹む
どうしたもんかな…
でも
お昼頃になると
昭和おじいちゃん
いつもよりオシャレな格好して
ラウンジに出てきた
それをスタッフは見逃さなかった
”声をかけてほしいのではないか”
スタッフ間でそう話をした
行事が始まって
すぐ
昭和おじいちゃんのお部屋へ伺う
看護師「すみません、朝はお断りされてしまったんですが、もしよかったらと思って伺いました。」
昭和おじいちゃん「ん。」
と言って
受け入れてくださった
そして
笑顔で写真撮影にも応じてくださった
そしてそして
その行事の歴史など
いろいろ教えてくださったのだ
撮った写真を携帯で
ご家族とのラインにも載せていた
少しは楽しんでくださったかな?
お孫さんからの返信を見せてくださった
その時の
昭和おじいちゃんのお顔
行事をやってよかった
と
心から思えた