漫画家さん　④

翌週

モニターに変化が現れた

もちろん

それを察知したのは先輩

ひよこの私は

モニターの波形の変化に

気付く余裕などない

正直

その時分は

見てもわからなかった

お部屋からナースコールも鳴った

あ…

まずい気がする

ひよこながらに

察した

ドラマで聞いたことがある

モニターの

最期の音がする

ピコンピコンピコンピコン

警告を示す音

人が生涯を終える

その瞬間を

初めて立ち合わせていただいた

ご家族が泣き叫ぶ

やはり

現実なのに

非現実だった

私の目から

涙が出てきてしまった

その場に居ることが耐えられず

無言で

そっと

退室した

廊下には

師長がいた

「辛かったね。」

泣いている私を責めることもなく

背中をポンポンと

叩いて

なだめてくれた

あとから出てきた先輩に

一言謝罪

先輩「（部屋を出たのは）良い判断だったと思うよ。」

そう言ってくださった

その後も

先輩に付いて仕事をしたが

何をしたのか

その日がどう終わったのか

よく覚えていない