床みがきの魔法

 サポートチームに所属し、子どもたちと向き合う每日。

 教室に行けなかった子たちは、いつも自分のタイミングで教室に戻っていく。

 エネルギーを満たし、チャレンジする勇気を抱いて…。
 

 M子さんはその前に何があったか。
 いろんな出来事があったのは確かだ。   

 中でも忘れられない出来事。

 それは、

 床磨き。


 
 ある日、6年生のМ子さんが不意に始め、掃除タイムの日課となった。

 大分年数を経た校舎で、床はかなり黒ずんでいる。
 それはもう落ちない汚れとしてあきらめていた。

 
 メラミンスポンジを使い、ひたすら床を磨くことを始めた。
 每日やり続けた。楽しそうに…。
 周りの下級生にも伝染し、みんなでワイワイやっていた。

 絶対落ちないと思われる汚れにもチャレンジし、『とれたよ!』と笑みを浮かべ教えてくれた。

 『卒業する6年生は、みんなこの教室を掃除しに来ればいいのに。』(みんな、お世話になったんだから)
 幾度か、口にしていた。

 巣立ちの3月を迎え、いよいよ卒業カウントダウンが始まった。
 
 残りわずかだが、預かっていた教科書や習字道具、体育着などを自分の教室に置くことに決めた。
 

 そんな今日、改めて感じた。

 床みがきの魔法🧙
 

 ある日、掃除機をかけていた時に、床全体がワントーン明るくなっていることに気付いた。

 メラミンスポンジの消費が激しいので、液状のウタ◯ロとセ◯キの組み合わせに切り替えてはどうかと買ってみた。
すると、浸け置きという手法を取り入れ、さらに掃除を楽しんでいった。

 あの姿が、私の忘れられない記憶となった。

 床みがきをしているM子さんの後ろ姿から、多くの気付きをもらったのは私のほうだった。

 やっぱりそうなんだ。
 この力は計り知れない。

床みがきは、自分を磨く魔法🧙

 だと。

 教室中に、ありがとうを刻んでいってくれた気がした。

 M子さんの心は、床と同じくワントーン明るくなった。彼女の卒業は、卒業式前に完了の気がした。
 晴れ晴れとした表情で巣立っていくことを信じている。

 出会う一人ひとりが、自分らしさを表現して新たな一歩を踏み出していく。
 
 サポートという仕事は、結局は誰かに何かが出来るわけではないと、本当は分かっている。
 それでも、かけてやりたい言葉。
 
 『あなたは大丈夫!信じている』

 その言葉を言っていい時があり、
 言ってはいけない時がある。

 だから、簡単で難しい。

 
 自信を無くし、落ち込み、元気が出ない時は、ただ寄り添うだけ。言葉の無意味さすら感じる。
 時間薬にもお世話になりながら、少しずつエネルギーチャージをしていく。
   
 『あなたは大丈夫!信じている』

 まだ言えないが、いつか時が来たら言おうと思っている人がいる。

 床みがきの魔法使いMちゃん
たくさんのありがとうを込めて…

卒業おめでとう🎉🎉🎉🎉🎉
 
 
  
 
  
 

 
 

 

 

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