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飽かず眺めた教科書『国語便覧』の話

『国語便覧』を覚えていますか?
古文などの授業の際に通常の教科書とは別に副読書として使われている、教科書の仲間のような本です

この『国語便覧』がそれこそ義務教育期間中から大好きで、授業中にサボってこちらを読んでる事がしばしばありました
『国語便覧』って凄いんですよ

・全ページオールカラー
・日本の四季、節季、それぞれの季節毎の鳥植物の紹介
・古典からの日本の各時代の文学史の紹介
・万葉集、小倉百人一首の読み解きを画像を交えて紹介
・近代の文学史や作家さんの解説が文学に留まらず、評論、随筆、戯曲、近代詩、文語詩、俳句、短歌などの成り立ちの、広く分かりやすい解説
・海外の文学史(主として漢文など)の解説も収録されている
・漢字に熟語、故事成語にことわざや慣用句の解説
・原稿用紙の使い方からはじまる、文章の書き方や敬語の使い方、手紙の書き方の解説

これらがぎゅっと全部詰まっていて、どの項目も詳細な解説なのに簡潔でもあって読みやすくて、様々な文学への入り口になる作りになっているんです

日本の節季と花鳥風月

自分は『源氏物語』が好きなのですが、好きでいくつか読んでいても、用語の分かりにくさに悩むことがしばしばあります
そんな時も『国語便覧』に頼めばこのように分かりやすくイメージが湧きやすくなるのです

この時代の貴族の装束のパーツの多さ…
色襲の図の美しさがたまりません
『源氏物語』の時代の建物と内装のつくり
『源氏物語』の主な舞台となる内裏と後宮の配置図

そういう頼もしい書籍『国語便覧』ですが、
あまりに好きなので、新しい版を買い直したりもしました
学校の近くの書店やAmazonでも、取り扱いをしているので、どなたでも購入しようと思えばすぐにできます
しかも安いんです!
フルカラーでこれだけの情報量なのに、なんと1000円しないんですよね…出版社の方たちの志を感じます
古典文学や百人一首などは、大人向けの分かりやすい学び直しの解説本なんかがありますが、もちろんそれも様々な工夫があって面白いですが
学校でも使われていた『国語便覧』があれば、より良く分かりやすく様々な文学へのアクセスができると思うのです
青空文庫に収録されている作家さんの事を調べるのにも、Wikipediaだけよりはこの『国語便覧』に問い合わせると、また趣も違っていいですね
でも、調べものが無くても、ただ読み物としてあちこちの特集をのんびりめくるのも、凄くいいです

この記事を書く前にあちこちのページを読み返したのですが、改めて百人一首の項目を見たら、義務教育の頃と比べて、惹かれる歌が変わった気がしました
それこそ10代の頃っていわゆる恋歌を気恥ずかしく思って、読み込めなかったのですが
やっぱりいいよね恋歌! 人間がおかしくなって感情がほとばしっちゃうのってやっぱり恋だよね!
そして百人一首の恋歌って、恋を仕掛けられてつれなくするとか、振られたとか、今は過ぎ去ってしまった愛の記憶とかそういうのばかりで安心して読めるなあ! 百人一首いいなあ! と楽しくなってしまったのでした

そういう訳で『国語便覧』は
学び直しとか教養のためにもなるけど、ただ掲載されている記事を眺めてるだけでも、心踊るし楽しい本です
もしご自宅にまだあるよって方は、是非ともご覧ください

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