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豪雪の山里から ~ ここで育った人たちのこと
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
田舎への移住を考えるとき、気になるのが地元の人たちとの付き合い。
実際、都会から移住しても、人間関係に悩んだり孤立したり揉め事起こしたりって話もよく聞きます。
なので今日は、この集落の人たちについて触れておこうと思います。
この集落は60世帯ですが、そのうち20軒は橘さん、15軒は馬場さんです。
田舎あるあるですが、江戸の中期にこの地を開拓した祖先が、橘さんと馬場さんで、地理的にも周囲から離れた土地なので、血縁の濃い同じ苗字の家の割合が高くなったようです。
なので、家を指すのに苗字でなく、本家・〇〇分家、家持ち、かわむこう等の「屋号」で呼びます。馴染みのない私には未だに覚えられません。
血縁もあるけど、厳しい自然環境下で生き抜くために、住民同士で助け合う土壌があります。
共同作業として道普請(みちぶしん:えざらいとも言う。農業用水路周りを掃除する)という行事は年3回ありますが、普段から親戚すじの男衆が老人宅の草刈りや雪かきを率先してやってあげたりします。採れた野菜や山菜などをおすそ分けいただくことも珍しくありません。
自分も頼まれてちょっと手伝ったりする度、過分な謝礼やお礼の品を渡されます。
普段お世話になっているしお互い様だからと断るのですが、受け取るまで許してもらえません。意外に借りを作るのが嫌いで、チャラにしたい様です。だから稲刈りなどで自分が手伝いをお願いするときも謝礼を考えるようになりました。
もう一つ意外なのはお酒の場です。
新潟だし、移住したらさんざ日本酒飲まされるだろうな~と半ば覚悟していたのですが、実際には飲み会がほぼ無い!
聞くと皆さん若い時分は浴びるように飲んだけど、今は年を取って持病を抱えてるので、あまり飲まなくなったそうです。
まあ個別に仲良し同士で家飲みしたりしてるみたいですが。
集落内には酒屋さんも飲み屋さんもなく、車で街まで飲みに行くって訳にもいかない。
だから、サラリーマン時代と比べてほんとうに飲む機会が減りました。
移住1-2年めは、ジョッキの生ビールの欠乏症に罹り、帰京する度、真っ先に居酒屋に直行してました。
行事も随分と減ったようです。学校も無いので子供絡みのイベントもありません。
主な行事と言えば、道普請の他には、夏祭りと小正月の賽の神(さいのかみ:どんと焼きとか左義長とも呼ばれる)、2回の地区総会くらいです。
あまりに寂しいので数年前から、移住者が中心になって秋の収穫祭を始めました。
こういった狭いコミュニティなので、噂はすぐ広がります。
ちょっと何か目新しい事をしていると、必ず誰かが見ていて寄ってきたり噂になったりします。間違った噂が広がることもあるので少し注意が必要です。
でも、基本的にはプライバシーを侵害されるほどのことはなく、移住して慣れない自分を「大丈夫か?」と少し遠めに見守ってる印象で、むしろその適度な距離感を居心地良く感じてました。
たいていの住民の方々は、恥ずかしがり屋で人見知りですし、環境変化を怖がるので、初めての人に会うと警戒して隠れたりもします。
お年寄りは訛りが強くて早口なので、最初のうち話の3割しか理解できませんでした(7年経っても全部は聞き取れず話が嚙み合わないことも…)。でも一度仲良くなるととても人の良い方々だということが分かります。
魚沼の人は良く「人が良い」と言われますが、その良さを他所から来た人が実感するまでには最低限の関係構築が必要かもしれません。
それから、遠目に見ててくれるというのと少し似ているけど、基本的に「人に迷惑を架けなければ、やりたいことを好きにやったら良い」という寛容なスタンスがあって良いと思いました。
農業でも何でも何かトライしようと考えて、地元の爺ちゃん達に「~なこと考えてるけど、うまくいきますかね?」と意見を聞くと「やってみたらいい」「うまく行くかやったら分かる」と必ず言われました。その爺ちゃん達も面白いこと始めて良く失敗していました。
失敗を恐れてすぐ二の足を踏む自分に、失敗を含めて経験を積むことが大事なんだと、身をもって教えてくれていたように思います。
そして店が遠い山奥ならではかもしれませんが、ここの人はその辺にあるもので対処しようとします。何か不具合が生じて修理しようとなった時にも、大工仕事から溶接から何でもできるし、パーツが足りないなら、その辺に転がってるもので代用できないかと工夫します。材料が足りないからとホームセンターに買いに行こうとして何度も笑われたのを覚えています。
まったく自活力がハンパ無い人たちです。
自分も経験値を上げていったらそんな人間になれるかな~と、今も憧れています。
まあ、どこの田舎にも似たようなところはあると思いますが、新しい土地に行ってからも、今までこうしていたからと自分の考えを押し通そうとすれば嫌がられるでしょう。「郷に入れば郷に従え」とまでは言わずとも、まずは相手を尊重して、今までの土地と新しい土地の暮らしの違いを楽しむくらいの余裕があると良いと思っています。
ではでは。