らじおとわたし
大嫌いだったラジオ。
小さな頃から、家ではラジオが流れていた。
父がラジオを聴くからだ。
古き良き(古き悪きともいう)昭和な家庭で育った私は父の決定権が全てだった。
学校のみんなが観ている朝のテレビ番組が観たくても、車の中で流行りの音楽が聞きたくても、ラジオ。
ひたすらにラジオ。
退屈でどうしようもなかった。
映像もなくただひたすら、話を聴く。
興味のない話を聞き続けるのは拷問に近い。
父はニュースと落語を好んで聴いていた。
朝はラジオのニュース番組で始まる。
落語は『おでん』の話が面白かったと記憶している。
どんなにイヤでもウッカリ聴いているのだ。
土曜日は決まって『永六輔土曜ワイド』だ。
中学生が「え!マジで?永さん!いいよね。」なんて思うはずもなく、みんなが楽しんでいるようなテレビ番組を観たかった。
永六輔、中村八代、坂本九の『六・八・九コンビ』を中学生にして知っていた教養深い私だ。
終戦記念日あたりで必ず野坂明如さんが出演する、そのすごさや貴重さが全く解らない年齢だった。
父は私と嗜好が違うため、私が「これ、超面白い!」と思う番組は「今よいところ」で違う番組に変えてしまうのもとてもイヤだった。
過日、ものすごく大人になってから結婚が決まり、ようやく実家を離れるとき、1番悩んだのがラジオを買うか否かだった。
私の朝は『森本毅郎スタンバイ』と決まっている。
番組が始まった当初から、聴いている。
厳密には前番組の『鈴木くんのこんがりトースト』から聴いていた。
もう、朝は森本毅郎さんと遠藤泰子さんでないとダメな身体になっている。
年に2度、夏と冬に毅郎さんと泰子さんはお休みをとる。
昔は確か、2人でお休みをずらして取ってらしたと記憶するが、最近は同じタイミングでお盆とお正月に取る。
その間、私のコンディションは最悪だ。
そのくらい朝のラジオは重要なのだ。
結局、ラジオは買わずにradikoを使うことにした。
習慣とは恐ろしいもので、気がついたらラジオなしの生活が考えられない身体になってしまったのだ。
さて、かって私が超面白い!と思った番組は『伊集院光 日曜日の秘密基地』だと知った。
人の趣味ってそう大きくは変わらない。
今でも私は伊集院光に夢中だ。
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