洗濯機売り場

　妻の紗里が「洗濯機壊れた〜」と呑気な口調で話すが、毎日の生活の中で必要な家電でしかも重要だと思うのだが…、何故か呑気で。
　土曜の朝に起きたハプニングで、直ぐに大型家電量販店に向かう自動車の中で紗里が「そう言えば、なんか変な音してたもんね…。」
　「そうなの、初めて聞いたよ。」と、私達夫婦は呑気な妻と気が短い私のやり取りはいつもこんな感じだ。

　家電量販店につくと洗濯機のコーナーに真っ直ぐに行き、壊れた洗濯機と同じものの新型を選んだが、スイッチ周りが少し変更されたのかな？
紗里が「壊れた洗濯機と同じ機種なのに、何かない気がする…、あっ点字が無くなった！」
　スイッチ周りに小さい文字で“点字表記が必要な場合はお申し出下さい。"
　割に視力はいい方の私ですら、小さな表記は見にくいのに、ましてや点字で書かれてもいない表記で“点字のお申し出下さい"と書かれている。　　
　紗里は「これじゃ、目が悪い人はわからるはずないね…！」

　紗里はその洗濯機を購入し、家電量販店の営業員が説明をしてくれて、梨紗が「点字表記はないのかな？」
　営業員が鼻高々に「ちゃんと用意しております。」
　表記は小さな文字で表記され、点字表記されていなくて、点字表記を用意をしていると“偽善"だと営業員は疑いもせずに、朗らかな笑みを浮かべる。

　家電量販店の洗濯機売り場での限られた場所での偽善…。
　のんびり屋の紗里が「知らないフリ…、それともこれが善と思ってる…？」

　…………………おしまい……………………