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母への片道書簡

 これは、世間的には’’オッサン族’’に属する、オイラの本音なのかも知れない。
 多くの無精ヒゲを生やした、’’オッサン族’’の、人に知られたくない想い…。

前略 おふくろ様

 そちらの’’世界’’はどんな感じなのでしょか?
 おふくろの好きな綺麗な花や木々が生茂り、綺麗な花の世話などしているのでしょうか…?
 そんな穏やかで温かな場所で、どこも痛くなくニコニコしていたらと、常々思います。
 僕が幼い頃はおふくろは見上げる程に
大きな人に見えてましたが、何時しか僕の背が伸びていて、’’あれっ、こんなに小さかったのか…!’’と、感じていましたよ。
 幼い頃は僕の目線に合わせ、おふくろは、’’しゃがん’’で話しながら温かい手を繋いでくれましたね…。
 そんな幼い頃の思い出が、まるで昨日の様に鮮明に思える程ですよ。
 
 ヒゲが生えてオッサンになった僕の手は、おふくろのすっかり小さくなった手を握りしめて…。
 差し伸べた僕のゴツゴツした手は少しでも、おふくろを包み込む事が出来ました…?

 どんな時も温めてくれたおふくろの身体が冷たくて、僕は無口にゴツゴツした手で必死に温めるけれど…。

 届くはずのない母への片道書簡に、’’有難う’’の言の葉を心に留めおく…。

 ヒゲ族のふんわりした柔らかい本音。
 
 
      〜 終 〜
 
 


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