リアル

　携帯電話のタイマーで目を覚ます。
「仕事か〜。」と呟き、顔を洗い粛々と準備してイヤホンを付け携帯のサブスクで音楽を聞きながら家を出る。
　昨日と今日の違いがない街を見る事はなく、サブスクの音楽を聞きながら出社する。
　会社で上司や同僚達と有りがちな雑談を話すにも、携帯でニュースを見たりして情報収集するから集まる人がみんな携帯を見ながら…。
　パソコンの画面を見ながら両手だけが働いていて、連絡事項も社内メールなんかでお知らせされる。

　太陽の位置だけが変化した街を携帯のサブスク聞きながら家路へつき、ホットしてテレビとエアコンのリモコンをONにする。　
　快適温度の中で自分の好きなネットテレビだけを見ながら、マッタリと過す。
　会社から銀行口座へ振り込まれた給料を手持ちの携帯で、ネットバンクで処理済みで快適生活は続く。

　部屋の窓から見る太陽の位置だけが、朝、昼、夜とゆっくりと確実に変わり行き春夏秋冬と移りゆく。

　窓から見る街並みの風景を毎日見て過ごし、何も変わらない街並みと思い込み、目の前の観たい画面と快適生活を繰り返す毎日を過ごす。
　僅かな変化が街並みにいろんな物が足されたり、減ったりしている事に気づかない。
　
　ふと街並みに目をやると、人影が見当たらない。
　ネットテレビの中には大勢の人がいて賑やかにしている。

　観たいもの、聞きたいものだけを観ながら、時間が止まってるいる場所に透明な僕は快適に…。

　貴方の見ているものはリアル！？

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