故郷
自動車に乗りお得意先へ走り出す、いつもの道路だが、道沿いの家が一軒また一軒と解体業者が壊し更地になるが、再び家は建築されない。
解体業者の人が働いている時は賑やかで、解体が終わると静まりかえり静寂が訪れる。
更地の隣りにはトタン屋根が錆び付き傾いている家があり人の気配がなく、道路向いのお店は閉まってしまった。
10年前は道行く人は小学、中学校と学生が多く通り自動車の運転は注意が必要だったが、今は学生の姿や子供達を見ることが珍しい有様になった。
見ること珍しくなった子供は近所の学校が閉校になり、子供はバスに乗って隣町の学校へむかい、子供を見送る親は珍しくなった若い世代。
少しずつ、ゆっくりと確実に町が寂れて行くのを自動車の車窓から垣間見る。
“故郷”は寂びれてまるで灰色の町に変わり行く姿に為す術もなく、ただ日々を暮してしまう。
誰もが感じてしまう、色褪せない鮮やかな故郷の記憶すら消して行く。
誰も通らない道路、廃校になった学校、耕されない田んぼ、動かなくなった自動車、壊れたままの自動販売機、乗りおりむやみに照らす街灯、道路の信号機だけが青、赤、黄色と忙しく働いている。
あなたの町でも見られる光景に、ただ無力な自分を感じでいないか?
だれもいない街を……………………!
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