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「六本木のBARで出会った戦略家―上杉拓哉の人生フレームワーク」
上杉拓哉の物語(続き)
六本木のBARは、夜な夜な多様な人々が集う場所だ。華やかな表舞台に立つ人もいれば、静かに成功を築き上げる者もいる。その中で、僕が最も強い印象を受けたのは、一人の男との出会いだった。
彼の名前は井上。スーツ姿が自然に馴染む洗練された佇まいで、初めて話した時から只者ではない雰囲気を感じた。
「井上さん、普段はどんなお仕事をされてるんですか?」
カウンター越しにそう尋ねた僕に、彼は微笑みながら言った。
「外資系のコンサルティングファームで働いているよ。役割は主に戦略コンサルタントだ。」
戦略コンサルタントとの会話
「戦略コンサルタント」という言葉には漠然としたイメージしか持っていなかった僕だが、彼の話は非常に具体的で引き込まれるものだった。
「戦略コンサルタントは、いわば事業の“設計者”だ。クライアント企業が直面する課題を分析し、それを解決するための事業フレームワークを作る。事業の全体像を描き、それを実行可能な形に落とし込むのが仕事だ。」
井上は、業界ごとに異なる戦略を紡ぎ出すプロフェッショナルだった。彼が手掛けたプロジェクトには、企業の再編から新規事業の立ち上げまで、幅広い事例があるという。
「戦略コンサルティング」との違いについて尋ねると、彼はさらに興味深い話を続けた。
「戦略コンサルティングは“考える仕事”に近い。企業がどの方向に進むべきかを提示するのが主な役割だ。一方、戦略コンサルタントは、それを具体的に形にしていく。クライアントが“未来像”を見ただけで終わらないように、計画を緻密に設計し、時には実行の支援もするんだ。」
その説明を聞きながら、僕は井上という人間がただ理論を語るだけの人物ではないことを感じ取った。彼の言葉には、現場での実行力や経験に裏打ちされた重みがあった。
井上との出会いが残したもの
彼との会話を重ねる中で、僕はふと、自分の立ち位置について考え始めた。モデルとして自分をどう見せるかを追求し、BARでは人と深く向き合う力を学ぶ毎日。
「それだけじゃないだろ?お前の中には、まだ見えてない可能性が眠ってるんじゃないか。」
井上の何気ない一言が、心の奥に響いた。
戦略コンサルタントが企業の未来を形にするように、僕もまた、自分の人生という“事業”のフレームワークを再設計する必要があるのではないか――そう感じた瞬間だった。
その夜、井上が注文したカクテルを差し出しながら、僕は心に決めた。
「俺も、自分だけのフレームワークを作ろう。どんな分野に進むにしても、明確な戦略を描き、実行できる力を身につける。それが俺の次の目標だ。」
次回:井上との出会いをきっかけに、上杉拓哉が新たな挑戦を始める――その一歩とは?