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東野圭吾『ゲームの名は誘拐』ドラマ化記念・担当編集者の撮影現場特別レポート
累計70万部超の東野圭吾さんのベストセラー『ゲームの名は誘拐』。
スリリングな”ゲーム”が繰り広げられるノンストップ・サスペンスが、WOWOWでドラマ化され話題を呼んでいます。
ドラマの収録現場に担当編集が潜入。特別レポートをお届けします!
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構成=光文社文芸編集部
現場にみなぎる緊張感!
早朝に到着した現場は大規模なホールなどを擁する建物。エントランスに近づくと、ガラス張りの壁の向こう側ですでに撮影は始まっていました。スーツ姿で颯爽と廊下を歩いていたのは渡部篤郎さんです。主人公の敵役となる「日星自動車」の副社長・葛城勝俊を演じています。その神妙な表情から、自分も緊張感が高まり背筋を正さずにはいられません。
細部までこだわった舞台美術
建物内のホールに入った瞬間、瞠目しました。そこに広がるのは新型車の発表イベントを行うためのステージ。“ゲーム”の決着がつく非常に重要なシーンの舞台です。その見せ場に相応しく、大きなステージやスクリーンが設けられ、そして原寸大の車の模型まで用意してありました。また、広告動画がCGで作られ、「日星自動車」のロゴも会場に飾られています。ディテールへの飽くなきこだわりが随所に凝らされて感嘆するばかり!
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現場全体で作り上げる映像
そして、エキストラの方々演じるメディアの記者たちを前に、渡部さんが壇上に立ち、新型車のプレゼンを行います。その悠然とした姿から副社長の威厳が伝わってきます。しかし、それを遮るかのように登場されるのが亀梨和也さん。広告代理店「サイバープラン」の敏腕プランナー・佐久間駿介を演じています。なぜ彼がその場に現れたのか……理由はぜひドラマで御覧ください!
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印象的だったのが亀梨さんの振る舞いでした。
撮影前のセリフのチェックの最中、自然な言い回しや言葉はなにかを思案するように、実際に口にしながら試行錯誤をされていました。その上であえて脚本に書かれてあるセリフとは異なる形も模索しながら収録が進み、完成度が高まっていきます。俳優としての矜持がそこに滲むように感じました。
さらに、エキストラの方に今のシーンがどういう場面なのかを亀梨さん自らが丁寧に説明される光景も目にして驚きました。大原康明プロデューサー曰く「普段はそのような説明は監督や助監督の方がすることが多いです。でも、亀梨さんが、こうしてせっかく来てくれたエキストラの方々にもお話してくださることで、一体感を醸成されている」とのこと。
同様に、渡部さんも「こんなふうに演じてほしい」という希望をエキストラの方々に伝えられる一幕があり、俳優の皆さんはただ演じるだけではなく、現場でどう作品を作っていくか考えていると知り、多くの方が関わる映像の制作過程だからこそ、結束感が肝要なことを強く感じる瞬間でした。
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作品の方向性を示すのが監督
撮影の合間に鈴木浩介監督にお話を伺わせていただきました。現場で心がけていることを伺ったところ、「監督としては指示がぶれないように気をつけている。そうしないとキャストもスタッフも不安になるから自分が方針を決める」と仰っていました。監督の責任の重さが伝わる言葉です。絶えず神経を張り巡らさねばならない現場で、気さくに話してくださって、ありがたかったです。
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現代を舞台にするからこそ、作品の価値が輝く
『ゲームの名は誘拐』が単行本で刊行されたのは2002年でしたが、今回のドラマ版の時代設定は現代です。日常に溢れるツールや社会の様相も全く異なります。しかし、東野さんの物語が魅力的だからこそ、繰り広げられるドラマは今もって色褪せません。『ゲームの名は誘拐』の面白さをあらためて実感すると共に、それを映像に結実しようと尽力されるキャスト・スタッフの方々の熱量を、余すところなく感じる機会になりました。ぜひ皆さんもドラマと小説、それぞれ楽しんでください!
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