なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#6【村角太洋】
超えた先にあるもの
文:村角太洋
最近まで恐れの日々であった。
11月16日に1ステージだけ上演される祭典のような舞台、なにげに文士劇「放課後」(原作:東野圭吾)の脚本・演出を担当することになった。
文士劇とは作家による芝居のこと。
役者として舞台に立たれるのは、文章と言葉を巧みに操るワードマジシャンたちである。
さて、ここで、私の今回のポジションを思い出していただきたい。
私、脚本を担当しておりますね。
これが何を意味しているかお分かりですか。
そうですね、私がしたためました脚本をワードマジシャンズに読んでいただくということですね。
これ、恐ろしいですね。背筋が凍りますね。夏にはぴったりですね。
しかも原作は東野圭吾さんの伝説のデビュー作。
恐ろしささらに倍の倍。
ハッ!
バイ、バイ……私よサヨウナラということなのか。
今回の文士劇のメンバーには作家の方以外にも、編集者の方、超書店員の方もおられる。
まさにプロ中のプロ、総勢16名のムキムキワードマジシャンズに私の脚本は耐えうるのだろうか。
皆さんに配られた日、それはそれはソワソワしておりましたものですよ。
脚本ができたら、次に待ち受けるのは読み合わせである。
出演者全員でセリフを声に出して読むのだ。
なんてイベント! 恐怖!
普段から読み合わせは恐ろしいと思っており、私はその時間を「地獄の時間」と呼んでいる。
だが、今回はこれまでとは次元の違う恐ろしさ。
心を悟られまいと努めて余裕の演出家を演じていたが、気になるシーンになったら皆さんのお顔をチラチラ見るし、落ち着かなくなったら何度も空の水筒に口をつけるし、原作にないセリフの時はApple Pencilを持つ手に力が入るし、しっかりドギマギしていた。
最後のト書きが読まれ、拍手で読み合わせが幕を下ろした瞬間、本当にホッとした。
面白く、とてもいい読み合わせだった。
これを乗り越えた私に怖いものはない。
稽古して、本番を迎えて、幕を下ろす。
あとは楽しいことばかりだ。
いざ、放課後!
日時:2024年11月16日(土曜日)16時開演
開演:サンケイホールブリーゼ
全席指定 8,000円
[主催・製作]なにげに文士劇2024実行委員会
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