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なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#5【小林龍之】

作家たち、舞台に立つ
筆一本で世にはばかる文士(作家)とその仲間が集まって、芝居をします。
文士劇は130年以上の歴史を持ちますが、大阪では実に66年ぶりの旗揚げ公演。素人芝居だからこそ懸命、アタフタと慌てふためいてしまうかも?
……そんな素敵な企画「なにげに文士劇」。
舞台に立たれる方々のエッセイを順番に公開します!!
第五弾は編集者の小林龍之さん。
是非お楽しみください!!

芝居心の火に焼かれ

文:小林龍之

  今回の文士劇の出演者に私がただ一人の編集者として参加しているのはなぜなのか。それは自分から出たいと言って手をあげたからです。

 最初はそんなつもりはありませんでした。編集者はあくまでも作家の裏方です。初めてこの話を聞いた時は、某先生にお願いしている書き下ろし新作がますます遅れてしまうのではと考え、どちらかと言えば賛同できない気持ちでいたのです。

 一方、日本で現在唯一毎年続いている盛岡もりおか文士劇を、私は長年観てきました。盛岡文士劇は1949年から1962年まで行われていたものを、高橋克彦たかはしかつひこさんが1995年に復活させ、今や地元年末の風物詩となっています。

 初めて観たのは2006年、浅田次郎あさだじろうさんや北方謙三きたかたけんぞうさんがゲスト出演された「新撰組しんせんぐみ」でした。「作家の先生方とはいえ芝居は素人だろう」と侮っていて本当にすみません。本格的な舞台装置や衣装、そしてなにより演技や台詞に度肝を抜かれ、「これマジなやつや」と呟くしかありませんでした。

 盛岡文士劇は昨年2回目の東京公演が行われましたが、2017年の1回目の時に、いつもは岩手の放送各局アナウンサーなどが出演する第一部の現代劇を、東京の編集者が演じてはという話がありました。

 結局それは実現しなかったのですが、実は私は「やるなら出てみたい」と思っていたのです。演じる側の作家と毎年のように接するうちに、その純粋に楽しそうな姿にいつの間にか私も惹かれてしまったのだと思います。

 なにげに文士劇実行委員の朝井あさいまかてさん、澤田瞳子さわだとうこさん、東山彰良ひがしやまあきらさんが2022年の盛岡文士劇を視察された際に同行させていただきましたが、その時には私の芝居心は下火のままでした。年が明けて準備が具体化していく中で、その火は次第に大きくなり、「演りたい!」と手をあげた次第です。


■■■出演者■■■
黒川博行・朝井まかて・東山彰良・澤田瞳子・一穂ミチ・上田秀人・門井慶喜・木下昌輝・黒川雅子(画家)・小林龍之(講談社)・蝉谷めぐ実・高樹のぶ子・玉岡かおる・百々典孝(紀伊國屋書店)・湊かなえ・矢野隆
配役は下記の公式HPへ!!


日時:2024年11月16日(土曜日)16時開演
開演:サンケイホールブリーゼ
全席指定 8,000円
[主催・製作]なにげに文士劇2024実行委員会

なにげに文士劇の詳細は上記HPまで!是非チェックしてください♪


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光文社 文芸編集部|kobunsha
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