いまさら聞けない!AIの始まりってなに?
初期の人工知能研究者アレン・ニューウェル(Allen Newell)
もう3月も今週で終わりになりますね。いきなりですが、3月生まれの研究者アレン・ニューウェル(Allen Newellアレン・ニューウェル)をご存じですか?
タイトルにもある通り初期の人工知能研究に携わっていた研究者さんです。
実は私、去年からAIの大学講座に講師として参加してまして、何か学生さんに面白い話できないかなぁ〜と思っていたのです。
最近、取り組み始めたところなんですが、「今日は何の日?」というお題で自分なりの視点で記事を書いてみようかなと思い至ったところ、3/19日はAI初期の人工知能研究者アレン・ニューウェルさんの誕生日だったのです!これはめでたい!ということで、記事を書き始めた次第です。
さてさて、皆様はAI初期の人工知能研究の研究者アレン・ニューウェル(Allen Newell, 1927年3月19日 - 1992年7月19日 アメリカ サンフランシスコ)という名前を聞いたことはありますか?私も詳しくは知らなかったのですが、調べてみるといくつかの興味深いところがあったので、楽しんでいただけるかなと。私たちの身近なAIと言えば、数年前に話題になった、テキスト生成AI・ChatGPTが代表的に知られていると思います。
ChatGPTが出た頃、人間的なテキスト生成AI(ChatGPT) に若干の驚きを感じた人たちは多かったのではないでしょうか。
AIと聞くといかにも人工的で人間の感情を無視した計算的なイメージが強いかもしれません。だからこそChat GPTの出現はある意味、脅威だった側面があったのでしょう。ところがこれは脅威的な発展ではなく、そもそもそれを見越した研究開発が初期からあったのです。つまり元々人間の仕組みを参考にしていたわけですね。
人間の仕組みとは、認知心理学の事を指します。
AIの発展において認知心理学の存在なしには語れないのです。
AIとは計算機科学および認知心理学の基礎的貢献のもと発展した技術なのです。
初期の人工知能研究の研究者として23年間の研究を経たアレン・ニューウェル(Allen Newell 48歳)とハーバート・サイモン(Herbert Alexander Simon 59歳)は計算機科学および認知心理学の基礎的貢献をした研究者として(1975年)ACMチューリング賞を受賞することとなるのです。コンピューターのノーベル賞ですね。
ちなみに、彼が生まれた1927 年は、アカデミー賞を開催している映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、AMPAS)の創立した年です。こんな名前の組織だったとは!恥ずかしながら私は知りませんでした(笑)目的は「映画における芸術と科学の発展を図るため」だったんですね。何だか象徴的ですね。
「私は〜を好む」
ところで何で認知心理学?と一瞬思った方もいるかもしれません。彼は1949年(22歳)スタンフォード大学で博士号を取得。プリンストン大学に進学し1949-1950年(22-23歳)の1年間、数学を大学で学んでいたときに、あることに気がついたのです。
ゲーム理論という領域に出会い、自分が「純粋数学よりも実験と理論の結合領域を好む」と。
なぜ、彼がそう思い至ったのかが気になるところですが・・・。
時代背景としては、まだブラウン管で表示されるようなゲームが一般的に普及する前の頃です。
ゲーム理論(英: game theory)とは?
(社会、自然の複数主体が関わる)意思決定の問題や行動の
相互依存的状況を数学的な数理モデルを用いて研究する学問だそうです。
数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンの共著書『ゲームの理論と経済行動』(1944年)が始まりで、1980年代の「ゲーム理論による経済学の静かな革命」を経て、現代では経済学の中心的役割を担うようになってます。
人間の意思決定の仕組み
そんな中、当時22歳の若きアレン・ニューウェル(Allen Newell)は、計算機科学とともに認知心理学という研究をしていったのです。
ちなみに認知心理学とは、(英: cognitive psychology)は、「情報処理の観点から生体の認知活動を研究する学問」だそうです。
そして20世紀最後の四半世紀以来、現代心理学の主流になっているそうです。
認知心理学って聞くと、心のお話かと思いがちですが、人間の意思決定の仕組みを情報処理という観点で研究されてきたんですね。なるほど。
認知心理学
人間の意思決定の仕組みを情報処理という観点で研究している認知心理学についてもう少し掘り下げてみましょう。
認知心理学は、知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決など人間の高次認知機能を研究対象とし、脳科学、神経科学、神経心理学、情報科学、言語学、人工知能、計算機科学などとの関わりあいの中で認知科学と呼ばれる事もあるそうです。
つまり認知心理学=認知科学とは、人はどんなふうに情報を得て認識して行動しているのかな?っていう研究なんですね。
認知科学
認知心理学による研究成果に広く基づき、コンピュータの処理モデルを構築する事。それを用いて人の認知モデルを再検証する事等も含まれているようです。最近では、意識や感情、感性といった問題にも取り組むようになってきているそうです。
さてさて話は戻りまして、アレン・ニューウェルは後に48歳の頃(1975年)人工知能と認知心理学への基礎的貢献が認められ、ハーバート・サイモンと共にコンピュータのノーベル賞と言われるACMチューリング賞を受賞することとなるのでずが、現在、彼の情報はG検定(AI・ディープラーニングの検定試験)の問題にも出てくる存在になってます。
面白いですね〜
ある1人の研究者の、「〜を好む」という意思から、人工知能と認知心理学という二つの基礎的貢献につながって、今私たちの生活の中で活用されているんですね。
アレン・ニューウェルの「純粋数学よりも実験と理論の結合領域を好む」という「〜を好む」という意思の尊さを私は感じずにはいられません。
それと同時に、「意識や感情、感性」の問題にも取り組んでいる、人工知能に対して、「人類にとって、我々は存在する価値を失うのではないか?」といった脅威を刺激する要素もあるのかもしれません。
でも、まだ恐れるほどの状況ではありません。なぜなら最新の情報は人間が個々の肉体を通して作るからです。ここに、自分の個性や才能が存在しているのです。
人間の思考や行動に多大なる影響を与えているとされる、脳の統計学習「デジタル・ヒューマニティ」の観点からすると「〜を好む」といった感情と意志と経験に基づいた判断はその人の個性・才能や強みにつながっているようです。
そしてその、個性や才能の強みを活かして価値を共創していくことが今後の課題となっていくのは明白でしょう。
そんなこれからの課題の手助けになれるよう、私にできることは何かなと考えるようになっているこの頃です。
続きはまた今度!
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