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レキップ紙ボルドー移籍報道の行間から見たファン・ウィジョの愛と恩義

26歳の非ヨーロッパ選手に4年契約

地元フランスの全国スポーツ紙レキップが、ボルドーとファン・ウィジョが4年契約を結ぶことでガンバ大阪とクラブ間合意したことを報じた。
あくまで自分の拙い語学力によって、原文を読み行間から感じたことは、その異例さに、向こうでも少し驚きを持ってこのニュースを扱っていることである。
韓国籍選手が珍しいわけではない。
かつて、モナコでパク・チュヨンが活躍し、10番を着けて二桁ゴールをしたこともある。そもそもソン・フンミンのことを知らないサッカーファンもいないやろうし、最近の韓国代表では、そのエースよりも結果を残しているウィジョなら、実力面でも特に問題はないやろ、と思われる。注目は、現在の年齢と契約年数。
記事のヘッダーにも26歳であることが書かれていた。プレーヤーとしてはピークと言ってもいいかもしれないけれど、青田買いが通常の近年のマーケットでは、KリーグとJの極東アジアでしかプレーしたことのないまま、その年齢まで迎える事実だけで、スカウターから漏れても普通。まずはそこがひとつ。
そしてその選手と4年契約をしようとしているということ。2年プラス、オプションが付けばいい方、が相場感かな、と思う。柴崎岳の時みたいに、半年とか1年とか、足元を見られることもザラ。万が一にも活躍しなかったとなると、戦力外選手がクラブに残ることになったり、長期契約はそれに付随して違約金も上がることになるので、悪い言い方をすると不良債権化することもある。年俸や違約金額と並び、契約年数は評価の表れとなる。

本来は事実上合意から出場はしない

ホームの清水エスパルス戦、出場するかどうかは知らないけれど、出るとすればかなり異例のこと。本来であれば、移籍が事実上合意すれば試合に出ないことが当然のこと。もちろん、ケガの可能性があるからである。
新しい所属クラブにとっても懸念やし、プレーヤー目線でも代理人目線でも、そのせいで破談になることが一番深刻な結果。
ここからは完全な推測なんやけれど、ボルドーは14日からキャンプが始動する予定らしいため、おそらくは、前節終了後にもガンバを離脱して欲しかったに違いない。こちら側の都合をそこまで配慮してもらえるとも思えず、清水戦にもし参戦することがあるとすれば、それはウィジョ側からボルドーに要求したとしか考えられない。アウェーの調布ではなく、ホームの吹田でラストマッチをしたかったのかもしれないし、挨拶というかお別れというか、言いたかったのかもしれない。ひょっとしたら、宇佐美貴史の加入が清水戦後になることから、ここまでは自分がプレーすることを責任と考えているのかもしれない。それぐらい、想っていてくれたら嬉しいよ。愛と恩義。

招集権限はなかったアジア大会

コパ・アメリカの招集メンバーが物議を醸したけれど、去年のアジア大会でのウィジョも、KFA、韓国サッカー協会からすると、オーバーエージ枠のため、本人はもちろん、所属元のガンバの了解が必要やった。いわゆる拘束権限なし。監督交代をし、残留争い、クラブに余裕なんてまるでなかったけれど、韓国代表内での地位を高めること、そして、韓国人選手であれば避けて通れない兵役の免除を手にするためにも、ガンバは快く送り出し、ウィジョは得点王として優勝へ導いて応じた。
競技生活者として、兵役というブランクがなくなった彼の中には、ヨーロッパへのラストチャンスが、今までよりより一層輝いて見えたはず。
アジア大会にアジアカップにとフル回転で、今季は疲れも見えた。
それでも、オフには契約を延長し、違約金も満額置いていく予定。
シーズン途中や契約途中であることから批判する人も日本にはまだいるけれど、今回のウィジョの行動や報道から透けて見えるひとつひとつから、ガンバ大阪というクラブへの愛と恩義が十二分に感じられた。
ありがとう、ウィジョ。
健闘と幸運を祈る。

#ガンバ大阪 #GAMABAOSAKA #ファンウィジョ

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