【インド回想記⑤】時間と空間
デカン高原エローラ石窟寺院すずめの戸締り自分の生死故郷
デカン高原は不思議な磁力を持っている。エローラ石窟寺院の30番洞窟の中に入る。暗闇が見えてコウモリのツンと焦げたようなフンの匂いが鼻をつきふと暗闇に吸い込まれそうになる。人がいる訳でもない何かがいるというより、ある。仏像いや仏像の形をした何かがうっすら闇の中に浮かぶ。誰かの気配がする松明の気配がする儀式の気配がする何千年も前の人がふと松明をともして暗闇の中で何かを唱え始める気配がする。静かに降る雨が集まって雨垂れの音が