Nanami

とあるきっかけでインドに恋をし、紆余曲折8か月の末、インドに15日滞在してきた大学2年生。

Nanami

とあるきっかけでインドに恋をし、紆余曲折8か月の末、インドに15日滞在してきた大学2年生。

最近の記事

【インド回想記⑤】時間と空間

デカン高原エローラ石窟寺院すずめの戸締り自分の生死故郷 デカン高原は不思議な磁力を持っている。エローラ石窟寺院の30番洞窟の中に入る。暗闇が見えてコウモリのツンと焦げたようなフンの匂いが鼻をつきふと暗闇に吸い込まれそうになる。人がいる訳でもない何かがいるというより、ある。仏像いや仏像の形をした何かがうっすら闇の中に浮かぶ。誰かの気配がする松明の気配がする儀式の気配がする何千年も前の人がふと松明をともして暗闇の中で何かを唱え始める気配がする。静かに降る雨が集まって雨垂れの音が

    • 【インド回想記④】生きることとインド

      生に震えた瞬間① 風の強さで無理やり部屋を涼しくするという力業の、白いファンの扇風機。部屋のほとんどを占めるクイーンベット。きれいに洗ってある、少し古くいけれど真っ白いシーツ。夜22時過ぎ、そのベットの上で寝そべって扇風機を眺め、まだ鳴りやまない夜のムンバイに流れるクラクションを聞きながら、私は大きな響きの音楽を聴いたすぐ後に強烈な余韻で身動きが取れなくなるような感覚とともに、動けなくなっていた。 それはムンバイの3日目の夜で、ボストンで時間を共にして以来8か月ぶりに、ムン

      • 【インド回想記③】インドと人生

        人生の目標今まで私は「社会をより良い方向に変えていく仕事をしたい」と思っていた。「将来何かを残したい」とも。抽象的だけれども崇高な目標だと心底思っていた。自分はその目標を具体化するフェーズに自分は居ると思っていたし、「何も残せない人生」になるのを嫌がり、そんな人生になることを、(傲慢にも)軽蔑しているような節さえあった。 でも、インドで何日も過ごすうち、そんな目標やそれに付随する焦りの根本が、ぽっかりと無くなった感覚があった。 でも、例えば道端に止めてあるトゥクトゥクで昼

        • 【インド回想記②】忘れたくない瞬間

          ※日記を元にするので、残りの回想記は「だ・である調」になります 忘れたくない瞬間たち道いっぱいに鳴るクラクションの響き。トゥクトゥクやオートリキシャのオッチャンは、もはや息を吸うように、会話をするようにクラクションを鳴らす。「そこのバイク、横通るぞ」「俺が入るんだ、早くどけ」「早く行け」などなど。 むわん、と鼻にくる匂い(懐かしくなる)。日本に帰ってきたら、渋谷は無臭だった。銀杏がぐしゃぐしゃ落ちている道を通ったときに、「あ、ひさしぶりに嗅覚が反応した」と思った。 2人

          【インド回想記①】インドで人生観は変わるのか

          オッチャンたちの汗と視線、響くクラクション、正体不明のお香の煙、そしてフンの香りに洗われて 「インド行ってきた」と話すと、「おお、人生観変わった?!」と80%くらいの確率で聞かれます。けれども、こう聞かれたとき、答えに窮する自分がいます。なぜなら、「世界が、180度違うように見えるようになった!」なんて劇的な変化は、訪れなかったから。 この定義に従うなら、「世界の見え方の角度が、2~3度変わること」も「人生観の変化」に当たる、と思います。そして私は、この話を思い出した時、「

          【インド回想記①】インドで人生観は変わるのか

          私がインドに行くまで

          2023年1月の終わり。ボストンから帰ってきた私は、ムンバイメンバーとの時間が忘れられずにいました。彼らと過ごした色んな瞬間を思い出すと、懐かしさと、当時のときめきが思い出され、思わず身体が熱くなっていました。仲良くなった女の子の"Please keep in touch!!"という言葉を信じてインスタで連絡をしたり、Talent Showで彼らが使っていた音楽を聞き出して「インド」というプレイリストを作って、何度も聞いたりしながら、「インドに行きたい」という思いを強くしま

          私がインドに行くまで

          そもそもなぜインドに「恋をした」のか

          衝撃、そしてときめき 大学1年生の時に、ボストンで参加していた国際交流プログラム※にて、私に衝撃の出会いが訪れます。それはムンバイ代表団との出会いでした。なぜか、彼らの雰囲気が好きで、居心地が良かった。もちろんムンバイ以外の支部の学生も何人かとも仲良くなれたけれど、ムンバイの人達は特別でした。 ムンバイメンバーとの話①:「え、ここでもういっこアイス食べるの?!」 ムンバイメンバーと、「一緒に散歩に行こう!」となった、ある夜のこと。彼ら4人と私で、雪の積もる道を歩いていたら

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          インド漫遊記

          自己紹介 こんにちは。ボストンでインドに恋をして、紆余曲折8か月の末にインドを15日間旅してきた、大学2年生です。 帰国後、すっかり深まっていた日本の秋の静けさに包まれつつ、気が付くと時差を計算し、あのインドの喧噪を思い出す日々を過ごしていました。そんな中でふつふつと、 ①自分がインドで感じたこと・考えたことを、忘れてしまう前に形に残したい ②日本人に「カレー、牛、ターバン、タージマハル、ガンジス川」だけでない、リアルインドを伝えたい という気持ちが湧いてきたので、思い切

          インド漫遊記